[Vol.1677] 分断起因の産油国減産が原油相場を支える

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.98ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,055.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,915元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年04月限は606.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1178.5ドル(前日比7.80ドル拡大)、円建てで5,626円(前日比19円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月1日 18時21分時点 6番限)
9,893円/g
白金 4,267円/g
ゴム 300.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「分断起因の産油国減産が原油相場を支える」
前回は、「世界の民主主義の行き詰まりも関心低下要因」として、自由民主主義指数0.4以下および0.6以上の国の数(1945~2022年)について述べました。

今回は、「分断起因の産油国減産が原油相場を支える」として、リーマンショック起点の世界的なリスク拡大と原油高止まりの同時進行(筆者イメージ)について述べます。

長期視点の西側と非西側の分断はどこから来たのでしょうか。筆者はリーマンショック後の西側の対応が、現在の分断を生んだ直接的な原因であると考えています。西側は同ショック後、経済回復・株価上昇を企図し、「環境問題」を提唱して脱炭素を進め、「人権問題」を提唱して問題を抱えた国、地域、企業との取引を止めることを推奨し始めました。

確かに、この二つの問題を解決するための行動は、西側の経済を立て直すこと、株価を上昇させることに大きな貢献をしました。先述のESGを投資基準として資金集めに成功したことは、その一例です。

ですが、西側のこうした行動が、非西側との分断を深めてしまったことも事実です。そうでなければ、先ほどの自由民主主義指数が分断を示すことはなかったでしょう。西側が二つの問題解決に本格的に取り組み始めたのも、自由民主主義指数が世界分断を示し始めたのも、同じ2010年ごろです。

以下のように、2010年ごろを機に西側と非西側の分断が深まったことを機に、いよいよ2017年からOPECプラス(石油輸出国機構プラス)の原油の減産が始まりました。そして分断が加速したことがウクライナ戦争勃発のきっかけの一つになりました。

そう考えると、OPECプラスの減産は大きな流れの中で行われていることになります。原油相場を支えたいという単純な理由だけではなく、分断の時代を生き抜く術(すべ)、という意味があるといえます。根深い長期視点の動機に支えられている減産が簡単に終わるとは考えにくいでしょう。

少なくとも、長期視点の西側と非西側の分断が解消するまで(自由民主主義指数の動きが逆転するまで)は、長期間にわたり続く可能性があると筆者はみています。

原油相場は2023年春の下落を経ても長期視点では高止まりしています。原油価格を支えているのは、重くて深い、分断の上にある原油の減産なのだと考えます。まだまだ、高インフレ長期化を念頭においた戦略が必要なのだと思います。

図:リーマンショック起点の世界的なリスク拡大と原油高止まりの同時進行(筆者イメージ)
図:リーマンショック起点の世界的なリスク拡大と原油高止まりの同時進行(筆者イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。