[Vol.1683] その長期運用、ゆれへの備えはあるか!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。OPECプラスの減産延長方針などで。78.25ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,186.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は14,080元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年04月限は608.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1256.55ドル(前日比14.15ドル縮小)、円建てで5,919円(前日比30円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月11日 18時52分時点 6番限)
10,272円/g
白金 4,353円/g
ゴム 319.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「その長期運用、ゆれへの備えはあるか!?」
前回は、「短期視点で、もう一段高が見られるか」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)について述べました。

今回は、「その長期運用、ゆれへの備えはあるか!?」として、筆者が考える地震の「ゆれ」と投資家が備えるべきことについて述べます。

気象庁のウェブサイトの「日本は世界有数の地震大国」の記載のとおり、わたしたちの日常は地震と隣り合わせです。同庁のデータによると2023年、日本で地震は2,237回発生しました。1日に6回以上、地震(震度問わず)が発生した計算です。

大きな地震については、気象庁が名称を定める場合があります。松代群発地震(1965年)、十勝沖地震(1968年、2003年)、北海道南西沖地震(奥尻島の地震 1993年)、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災 1995年)、芸予地震(2001年)、新潟県中越地震(2004年)、能登半島地震(2007年、2024年)、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災 2011年)、熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)などです。

また、日本では今後、大地震が発生することが予想されています。首都直下でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率は、今後30年以内に70%(2020年時点 地震調査研究推進本部地震調査委員会)、南海トラフ沿いで同8から9クラスの地震が発生する確率は、今後30年以内に70から80%(2024年時点 気象庁)とされています。

こうした中で近年、ゆれへの備えは国だけでなく自治体、企業、学校、そして個人にも浸透してきています。量販店やホームセンターでは防災グッズの売れ行きが伸びているようです。防災リュックに入れておくものとして推奨されているのが、水(1.5リットル以上)、食料(長持ちしてすぐに食べられるもの)、現金、携帯トイレ、救急グッズ、衛生用品、トイレットペーパー、衣類、雨具・防寒具、軍手、タオル(2、3枚)、懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、ホイッスル、などです。

ゆれは、地盤だけでなく相場でも頻繁に起きています。バブルの可能性が指摘されるほど急騰状態にある各種市場を見ていると、資産形成・運用をする上での「ゆれへの備え」を、今改めて、考えてみる必要がありそうです。

震源からもたらされる波によって、地中が突き上げられて起きる縦ゆれと、地盤が撓む(たわむ)ことで起きる横ゆれがあります。相場における縦ゆれは「価格の上下」、横ゆれは「特定の材料が及ぼす影響の時間的な伸び縮み」です。株式や株式に連動する投資信託・ETF(上場投資信託)をメインに運用されている方にとって、縦ゆれは株価の大幅下落、横ゆれは景気後退を引き起こすマイナス面の材料の長期化となるでしょう。

今回から数回にわけて、資産運用をされている方にとっての縦ゆれである「株価の大幅下落」への備えについて書きます。横ゆれである「景気後退を引き起こすマイナス面の材料の長期化」への備えについても、折を見て触れていきたいと思います。

図:地震の「ゆれ」と投資家が備えるべきこと
図:地震の「ゆれ」と投資家が備えるべきこと

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。