[Vol.1696] カギを握る中央銀行の金(ゴールド)保有

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。83.11ドル/バレル近辺で推移。(グッドフライデーのため一時休場有)

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,254.80ドル/トロイオンス近辺で推移。(グッドフライデーのため一時休場有)

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,680元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年05月限は648.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1331.8ドル(前日比0.25ドル縮小)、円建てで6,495円(前日比206円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月29日 13時29分時点 6番限)
10,905円/g
白金 4,410円/g
ゴム 328.1円/kg
とうもろこし 40,310円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「カギを握る中央銀行の金(ゴールド)保有」
前回は、「日米の金(ゴールド)は中長期的に上昇か」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)について述べました。

今回は、「カギを握る中央銀行の金(ゴールド)保有」として、世界的な金(ゴールド)の調査機関が実施した中央銀行向けのアンケート結果について述べます。

中長期的なドル建ての動向を左右し得る中央銀行の動向については、以前の「[Vol.1681] 中央銀行は分断に金(ゴールド)で対応」で述べたとおり、世界の分断深化が目立ち始めた2010年ごろから買い越しに転じました。また、昨年行われた中央銀行向けのアンケートでは、以下の通り、多くの中央銀行が5年後、金(ゴールド)の保有比率が上昇すると回答しています。

西側・非西側の分断が解消するまでは、中央銀行の金(ゴールド)の買い越しは続く可能性があると筆者はみています。分断を解消するためには、分断のきっかけとなった「環境問題」と「人権問題」において、西側と非西側が歩み寄ることが必要です。

ですが、西側はすでに、環境問題や人権問題を改善するための策を止めることができなくなっています。なぜなら、すでに莫大(ばくだい)なお金を動かしてしまったからです。関連企業の株価や関連金融商品の価格を下落させないためにも、西側は脱炭素を引っ込めることは容易でありません。

長期的に西側・非西側の分断は続く→長期的に中央銀行による金(ゴールド)保有増加が続く→長期的に金(ゴールド)の緩やかな価格上昇が続く。こうしたシナリオに基づけば、目先の日銀やFRBの動向に一喜一憂せず、ゆっくりと長期投資を行うことができるのではないかと、筆者は感じています。

図:5年後、中央銀行の金(ゴールド)の保有比率(現在15%)はどうなると思いますか?(2023年にアンケート実施)
図:5年後、中央銀行の金(ゴールド)の保有比率(現在15%)はどうなると思いますか?(2023年にアンケート実施)

出所:World Gold Councilの資料より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。