[Vol.1726] コーヒーからドリアンに転作

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.52ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,379.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,430元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年06月限は614.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1316.95ドル(前日比1.65ドル拡大)、円建てで6,644円(前日比65円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月15日 17時39分時点 6番限)
11,881円/g
白金 5,237円/g
ゴム 318.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「コーヒーからドリアンに転作」
前回は、「中国でドリアンブーム発生」として、中国のドリアン輸入額・シェアについて述べました。

今回は、「コーヒーからドリアンに転作」として、ベトナムのコーヒー収穫面積(前年比)
について述べます。

複数の報道は、ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国としていますが、ロブスタに限って言えば世界1位です(USDAのデータより)。世界1位のロブスタ生産国であるベトナムは、中国の旺盛なドリアン需要が入り込んだことで、大きな変化にさらされています。

1990年ごろから続いたベトナムのロブスタコーヒー生産量の長期増加トレンドは、2021年にいったん、終わったと考えられます。2021年比に比べると、2022年、2023年ともに、10%以上、減少したためです。

同国で、ロブスタからドリアンへの転作が進んでいると報じられています。一部の報道は同国のロブスタの生産量が2021年をピークに減少した原因を異常気象としていますが、中国が同国産の生鮮ドリアンの輸入を許可したのが2022年だったことを考えると、ドリアンへの転作進展が、生産量のピークアウトの一因になった可能性が浮上します。

以下の図の通り、2022年のベトナムのコーヒーの収穫面積の伸び(前年比)は、2007年以降で最低になりました。2022年は、中国がベトナム産の生鮮ドリアンの輸入を許可したタイミングです。生産量の減少と収穫面積の伸び鈍化は、同国でコーヒーからドリアンへの転作が進んだことを示唆しているといえます。

一部では、ベトナムでドリアンを作って得られる収益は、コーヒーを作って得られる収益の2倍ともいわれています。前々回に、足元の価格が2022年比で1.8倍以上になっているのは、世界ナンバーワンのロブスタ生産国であるベトナムが、中国のドリアンブームによって岐路に立たされていることを、反映していると考えられます。

図:ベトナムのコーヒー収穫面積(前年比)
図:ベトナムのコーヒー収穫面積(前年比)

出所:FAO(国際連合食糧農業機関)のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。