[Vol.1725] 中国でドリアンブーム発生

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。79.12ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,351.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,310元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年06月限は618.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1330.35ドル(前日比1.85ドル縮小)、円建てで6,740円(前日比26円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月14日 18時34分時点 6番限)
11,816円/g
白金 5,076円/g
ゴム 313.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス


出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「中国でドリアンブーム発生」
前回は、「ロブスタコーヒー価格急騰」として、ロブスタコーヒー相場について述べました。

今回は、「中国でドリアンブーム発生」として、中国のドリアン輸入額・シェアについて述べます。

ドリアンは「フルーツの王様」と呼ばれています。東南アジアのマレー半島を原産地とするフルーツで、甘い果肉は「濃厚なカスタードクリーム」と評されます。栄養価が高いため、「滋養強壮のフルーツ」といわれることもあります。一方で、表皮にとげがあったり、強烈なにおいを放ったりするため「悪魔のフルーツ」と呼ばれることもあります。

中国は近年、ドリアンブームです。おいしさを求める中産階級の増加、健康促進、東南アジアの文化の拡大、インターネット通販の普及が同時進行していることが、その理由とされています。ピザやパフェのトッピング、鍋料理の具材などにも使われているようです。

2010年代初めから世界規模の「爆食」が始まり、インターネット通販でドリアンを購入できるようになった2018年ごろから、ブームに拍車がかかったと考えられます。

世界各国の貿易統計を集約するOEC(The Observatory of Economic Complexity)のデータから、中国のドリアンブームの軌跡を確認することができます。下の図の通り、2022年の同国のドリアンの輸入額(およそ38億ドル)は、2010年の22.6倍、2015年の4.1倍、2020年の1.7倍と増加傾向にあります。2022年の輸入シェア(金額ベース)はなんと92.7%です。

中国が輸入するドリアンのほとんどはタイ産です。2021年に開通した中国の昆明(雲南省)と南部で接するラオスのビエンチャンを結ぶ「中老鉄路(中国ラオス鉄道)」を利用することで、中国は各段にタイ産のドリアンを輸入しやすくなりました。

こうした状況の中、中国は2022年にベトナムからの生鮮ドリアンの輸入を許可しました。また、2023年にフィリピンと「検疫要求議定書」に調印し、フィリピン産の生鮮ドリアンも中国市場に出回るようになりました(人民網より)。目下、中国は自国のドリアン爆食をまかなうべく、タイ以外からの生鮮ドリアン調達を加速させています。

図:中国のドリアン輸入額・シェア


出所:OECのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。