[Vol.1727] 爆食の影響は西側諸国に

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.72ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,390.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,710元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年07月限は611.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1313.3ドル(前日比11.50ドル縮小)、円建てで6,578円(前日比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月16日 17時28分時点 6番限)
11,892円/g
白金 5,314円/g
ゴム 321.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「爆食の影響は西側諸国に」
前回は、「コーヒーからドリアンに転作」として、ベトナムのコーヒー収穫面積(前年比)
について述べました。

今回は、「爆食の影響は西側諸国に」として、ベトナムのコーヒー輸出先(数量ベース 2022年)について述べます。

世界輸入シェア92%超(2022年)という異常なまでの中国のドリアン爆食は、ベトナムのロブスタコーヒーの生産量を減少させた可能性が高いといえます。ではその影響はどこに出るのでしょうか。

すでに、ロブスタ価格の上昇は、私たち市民が口にするコーヒーの小売価格(コンビニ、ファミリーレストラン、喫茶店などの価格)を押し上げたり、コーヒーの流通に関わる業者の懐事情を悪化させたりしています。例えば、2023年の日本のカフェ(喫茶店)の倒産件数は、コロナ禍で人流が急減した2020年の68件を大きく上回る72件となり、過去最高になりました。

さらに今後は、価格上昇のほか、西側諸国でロブスタの需給がひっ迫する懸念が高まっています。ベトナム産のロブスタコーヒーの多くは、EU(欧州連合)、米国、日本などの西側諸国向けです。以下の通り、2022年、ベトナムは80を超える国にコーヒーを輸出しましたが、その80%弱はEU、米国、日本などの西側諸国に仕向けられました(FAOのデータより)。

中国のドリアン爆食は、世界のコーヒー価格を上昇させ、西側諸国のコーヒー小売価格を引き上げた上で、今後は品不足を引き起こそうとしているのです。

図:ベトナムのコーヒー輸出先(数量ベース 2022年)
図:ベトナムのコーヒー輸出先(数量ベース 2022年)

出所:FAOのデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。