[Vol.1747] OPECプラスも世界分断の渦中にいる

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反発などで。77.74ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,333.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は15,485元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年07月限は604.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1380.6ドル(前日比3.20ドル縮小)、円建てで6,924円(前日比12円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月13日 18時44分時点 6番限)
11,727円/g
白金 4,803円/g
ゴム 342.8円/kg
とうもろこし 40,390円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「OPECプラスも世界分断の渦中にいる」
前回は、「年々高くなる『安定』の難易度」として、OPECと非OPEC産油国の協力宣言が7年を経過したことについて述べました。

今回は、「OPECプラスも世界分断の渦中にいる」として、OPECプラスの自由民主主義指数(平均)について述べます。

世界で「脱炭素」が進んでいる様子を見て、産油国は何を思ったでしょうか。(西側の)ぜいたくを実現するためにずっと協力してきたのに…西側が買わないのであれば、買ってくれる非西側に売ろう…不要であれば価格をいくら高くしても文句は言われないだろう…同じ境遇の産油国同士、結束を強めよう…などと考えていても、何らおかしくはありません。

西側と非西側産油国の「脱炭素」に関する考え方の相違は、双方の溝を深めるきっかけとなりました。折しも、西側と非西側の分断が深まり始めた2010年ごろ以降、その流れに倣い、以下の通り、OPECプラスの自由民主主義指数も低下し始めました。自由度・民主度の低下を示す同指数の低下は、OPECプラスの考え方が、西側の考え方と離れてしまったことを示しています。

OPECの資料によると、OPECプラスが協調減産を始めて間もないころ、OPECの要人が米国に行ってエネルギー関連の要人と面談をしたり(米エネルギー情報局や米商品先物取引員会に訪問した記録あり)、西側諸国が起源であるIEA(国際エネルギー機関)の要人と意見交換をしたりしていました。OPECの要人が、ハリケーンが襲来した米国南部の人々に哀悼の意を示した記録すらあります。

図内の太い赤い矢印は、わずかな期間でしたが、OPECプラスの自由民主主義指数が上昇し、考え方が西側に寄ったことを示唆しています。OPECプラスの要人が盛んに西側と関わりを持っていた時期と重なります。

しかし今、同指数が低下したり、OPECプラスと西側との関係が疎遠になったりしています。最近のOPEC月報に記載されている世界の石油需要の見通しとIEAの同見通しに食い違いが目立っていることや、2022年3月にOPECプラスの原油生産量を評価する際に用いるデータを、IEAから民間2社に変更したことなどは、その一端であると言えます。

図:OPECプラスの自由民主主義指数(平均)
図:OPECプラスの自由民主主義指数(平均)
出所:V-Dem研究所のデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。