[Vol.1749] 非鉄金属価格は過去の常識で語れない

著者:吉田 哲
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原油反発。ドル指数の反落などで。78.27ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,336.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,885元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年08月限は597.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1383.3ドル(前日比7.20ドル縮小)、円建てで6,950円(前日比36円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月17日 17時28分時点 6番限)
11,779円/g
白金 4,829円/g
ゴム 327.0円/kg
とうもろこし 40,400円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
NY銅先物(期近) 日足  単位:ドル/ポンド
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「非鉄金属価格は過去の常識で語れない」
前回は、「安定(原油高)求める動きは長期化」として、「ESG」「SNS」が原油価格を高止まりさせた経緯について述べました。

今回は、「非鉄金属価格は過去の常識で語れない」として、非鉄金属の国際価格の推移について述べます。

2020年ごろから断続的に、筆者のもとに「金属の盗難」に関する問い合わせが寄せられています。盗難が相次いでいる背景の一つに、銅の国際相場が高騰していることが挙げられています。

今回から数回に分けて、問い合わせの際に解説している銅相場高騰の背景を述べます。(銅相場高騰以外の盗難が相次いでいる要因や、日本でとられている対策の現状、今後望まれる像についての筆者の考えなどは、別途述べる予定です)

下のグラフのとおり、銅の国際相場(赤線)は高騰しています。1トンあたり10000ドル近辺は史上最高値水準です。銅のほか、同じ非鉄金属であるアルミニウム、鉛、亜鉛、スズ、ニッケルなどの価格も上昇しています。

グラフから読み取れることは、1980年ごろから2000年ごろまでの値動きとそれ以降の値動きは本質的に違う、ということです。過去の常識で今の非鉄相場を分析することはできないのです。「変動幅が急激に拡大したこと」と、「底値水準が大幅に上昇したこと」に着目することではじめて、現在の銅や非鉄相場が何を根拠に動いているのかが見えてきます。

図:非鉄金属の国際価格の推移 単位:ドル/トン
図:非鉄金属の国際価格の推移 単位:ドル/トン
出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。