OPECプラスが減産を継続する理由②

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。56.38ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,464.30ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は12,035元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年12月限は450.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで585.4ドル(前日比1.6ドル拡大)、円建てで2,040円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(11月13日 18時20分頃 先限)
 5,121円/g 白金 3,081円/g 原油 38,490円/kl
ゴム 180.8円/kg とうもろこし 23,180円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「OPECプラスが減産を継続する理由②」

今回は「OPECプラスが減産を継続する理由②」として、前々回、協調減産を継続する場合の理由の一つにあげた「3.米国の原油生産量が増加する中、世界の需給バランスが緩むのをできるだけくい止めるため。」に関連する、世界の石油の需給バランスについて書きます。

需給バランスは、供給から消費を引いて求めます。以下の図は、世界の石油の供給(青線)と消費(オレンジ線)、そして需給バランス(棒グラフ)です。

2018年春ごろから激化した米中貿易戦争、そして英国のEU離脱問題、東アジア情勢の混迷など、世界には複数の懸念される材料があり、これらの懸念によって、世界の景気が大きく鈍化が進行し、石油の消費が減少しているとの声が聞かれます。

しかし、オレンジ線のとおり、米中貿易戦争の間も増加し、2020年12月にかけてさらなる増加が見込まれています。

ですが、2020年は多くの月で供給過剰になることが見込まれています。供給が増えることが見込まれているためです。

今後も、米国の原油生産量は増加が見込まれています。

もし仮に、このような状況においてOPECプラスが減産をやめた場合、世界の需給バランスはどうなるでしょうか。

減産が終われば、需給の緩みが大幅に加速し、原油市場は大きく下落する可能性があります。

原油相場の下落は、株式や通貨の市場を混乱させる要因になります。

このような事態を避けるため、ある意味、OPECは減産を継続しなければならない責を負っていると言えます。

市場の期待に応え、OPECプラスはできるだけ需給バランスを緩ませないよう、(決定がなされるのが12月の総会かどうかは別として)減産を継続すると筆者は考えています。

図:世界の石油供給量と消費量(右軸)、および需給バランス(左軸)
単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。