[Vol.1785] 金(ゴールド)相場の長期のテーマ

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。74.03ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,434.15ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は15,700元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年09月限は545.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1508.95ドル(前日比2.45ドル縮小)、円建てで6,990円(前日比34円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月7日 18時40分時点 6番限)
11,373円/g
白金 4,383円/g
ゴム 319.8円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)相場の長期のテーマ」
前回は、「資産形成の際は長期のテーマに注目すること」として、海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1973年~)を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)相場の長期のテーマ」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(中長期・超長期)を確認します。

中長期と超長期のテーマは、以下のとおりです。中長期は「中国・インドなどの宝飾需要」「中央銀行」「鉱山会社」の三つ、超長期は「見えないリスク」の一つです。

特に「中央銀行」に関わる新興国を中心とした中央銀行の金(ゴールド)保有高の目立った増加と、「見えないリスク」に関わる西側・非西側の分断、およびSNS・ESG起因の混乱は、2010年ごろから目立ち始めました。

中長期と超長期のテーマ起因の上昇圧力が強まり始めたことによって、前回の図「海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移」で示した、2010年ごろ以降の長期価格上昇が起きているといえます。(有事だけ、代替資産だけ、代替通貨だけで、ここまでの長期的で大規模な価格上昇は起き得ないと筆者は考えている)

しばしば、金(ゴールド)価格について「もう高い」「もう上がらないだろう」「下がる可能性がある」などと、チャートの見た目で判断を下そうとする声を聞きます。

本当にそうなのであれば、ドル建て金(ゴールド)が1,000ドル/トロイオンスに達したり、円建て金(ゴールド)が1万円/グラムに達したりした後、価格は下がっていた可能性があります。ですが実際は、逆に上昇しています。その上昇に勢いさえあります。

材料があれば、上昇するのです。材料を整理せずにチャートだけで判断をしてはいけない、ということです。資産形成を進める上で重要なテーマは、中長期の「中央銀行」と、超長期の「見えなりリスク」の二つです。図に示したとおり、これらの二つは2010年ごろから目立ち始めました。実際に価格も2010年ごろから騰勢を強め始めました。

「中央銀行」と「見えないリスク」起因の上昇圧力が続く限り、長期視点の価格の大幅下落は発生しないと筆者は考えています。もちろんその道中で、短中期のテーマ起因の圧力が加わることで、短中期的な下落が起きる可能性はあります。

しかし、長期資産形成において関心を示すべき点は、短中期視点のテーマ起因の短中期的な下落圧力の動向ではなく、中長期・超長期のテーマ起因の長期的な上昇圧力がどれだけ続くか、という点であると考えます。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(中長期・超長期)
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(中長期・超長期)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。