[Vol.1791] 資産形成の際は「長期視点のテーマ」に注目

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。77.86ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,492.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は16,110元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年10月限は572.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1528.2ドル(前日比1.95ドル縮小)、円建てで7,227円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月16日 大引け時点 6番限)
11,790円/g
白金 4,563円/g
ゴム 328.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(24年11月限 24年8月16日15時01分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「資産形成の際は『長期視点のテーマ』に注目」
前回は、「情報の大衆迎合とSNS普及が株価急落の一因」として、「スマホ(SNS含む)」の世界的普及がもたらした市場への負の影響を確認しました。

今回は、「資産形成の際は『長期視点のテーマ』に注目」として、海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1973年~)を確認します。

金(ゴールド)市場に関わる中長期のテーマである「中央銀行」に関わる新興国を中心とした中央銀行の金(ゴールド)保有高の目立った増加と、超長期のテーマである「見えないリスク」に関わる西側・非西側の分断、およびSNS・ESG起因の混乱は、2010年ごろから目立ち始めました。

中長期と超長期のテーマ起因の上昇圧力が強まり始めたことによって、以下のとおり、2010年ごろ以降の長期価格上昇が起きているといえます(「有事ムード」「代替資産」「代替通貨」といった短期的なテーマだけで、ここまでの長期的で大規模な価格上昇は起き得ないと筆者は考えている)。

しばしば、金(ゴールド)価格について「もう高い」「もう上がらないだろう」「下がる可能性がある」などと、チャートの見た目で判断を下そうとする声を聞きます。

本当にそうなのであれば、ドル建て金(ゴールド)が1,000ドル/トロイオンスに達したり、円建て金(ゴールド)が1万円/グラムに達したりした後、価格は下がっていた可能性があります。ですが実際は、逆に上昇しています。その上昇に勢いさえあります。

材料があれば、価格は上昇します。材料を整理せずにチャートだけで(見た目で)判断をしてはいけない、ということです。

「中央銀行」と「見えないリスク」起因の上昇圧力が続く限り、長期視点の価格の大幅下落は発生しないと筆者は考えています。もちろんその道中で、短中期のテーマ起因の圧力が加わることで、短中期的な下落が起きる可能性はあります。

長期資産形成において関心を示すべき点は、短中期視点のテーマ起因の上下の圧力ではなく、中長期・超長期のテーマ起因の長期的な上昇圧力がどれだけ続くか、という点であると考えます。目立つから、分かりやすいから、などの理由で短中期視点のテーマ(ばかり)に、寄り添ってはいけないと考えます。

図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1973年~)
図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1973年~)
出所:LBMAおよび国内地金大手のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。