[Vol.1798] 「暴騰中・歴史的高値」は興奮と恐怖の源泉

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。77.25ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,548.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は16,380元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年10月限は568.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1583.1ドル(前日比3.95ドル縮小)、円建てで7,262円(前日比73円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月27日 14時31分時点 6番限)
11,714円/g
白金 4,452円/g
ゴム 357.6円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,020.0円/mmBtu(24年11月限 24年8月23日17時29分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『暴騰中・歴史的高値』は興奮と恐怖の源泉」
前回は、「急反発を演じて安心感を振りまく人気銘柄」として、主要株価指数と金(ゴールド)の価格推移(日足)(7月1日を100として指数化)を確認しました。

今回は、「『暴騰中・歴史的高値』は興奮と恐怖の源泉」として、主要株価指数と金(ゴールド)の価格推移(月足)(2009年2月を100として指数化)を確認します。

なぜあの8月初旬の株価急落の際、多くの投資家は恐怖を感じたのでしょうか。下落値幅が大きかったからでしょうか。筆者はそれだけではないと考えています。そもそも、歴史的高値水準であることも、恐怖をかきたてた原因だったと考えます。

「みんなが買っている」「米国株は大丈夫」などの集団心理が一因で事態が見えにくくなっていますが、そもそも、こうした人気銘柄たちは、上のグラフが示すとおり、歴史的な高水準にあります。大変な「高所」で推移しているのです。

高所はある意味、興奮と恐怖の源泉です。多くの人間があえてジェットコースターや観覧車に乗りたがるのは、高所がもたらす興奮とその裏側にあり深い興奮(悦楽に似ている)を増幅させる恐怖を感じるためです。それらに加え、ジェットコースターは疾走感が、観覧車は未知の眺望や優越感が得られます。

人は本能的に興奮をそして深い興奮を増幅させる恐怖を求める生き物です。人気アトラクションの行列が途絶えないのはこのためです。高所に到達できる人気アトラクションに足を運ぶことと、高所にある人気銘柄を買うことは、共通していると筆者は考えています。

「この遊園地はしっかりしているからこのアトラクションに乗っても大丈夫」「AIブームが来ているから米国株は大丈夫」などの集団心理を強力に補強する要因があれば、興奮を獲得したいという欲求は高値への警戒心をかき消し、人はジェットコースターや観覧車に乗ったり、歴史的高値圏で推移する人気の株価指数を買ったりします。

それでいて、ジェットコースターや観覧車が何らかのトラブルで緊急停止したり、人気の株価指数で何らかの要因で急落したりして、不意のリスクにさらされると、とたんに恐怖が膨張します。

「この高さ、怖い」「この観覧車から降りられないのではないか?」そして「株価急落はなぜ起きているのだろう?」「この下げは止まらないのではないか?」などと強い恐怖に駆られてしまいます。

図:主要株価指数と金(ゴールド)の価格推移(月足)(2009年2月を100として指数化)
図:主要株価指数と金(ゴールド)の価格推移(月足)(2009年2月を100として指数化)
出所:LBMAおよびInvesting.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。