[Vol.1800] 金(ゴールド)と一線を画すプラチナに注目

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。74.70ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,545.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は16,760元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年10月限は553.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1606.2ドル(前日比6.10ドル拡大)、円建てで7,373円(前日比93円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月29日 11時48分時点 6番限)
11,727円/g
白金 4,354円/g
ゴム 373.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,020.0円/mmBtu(24年11月限 24年8月23日17時29分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)と一線を画すプラチナに注目」
前回は、「『恐怖の素』を抱えて人気銘柄を買う投資家」として、歴史的高値圏で推移する金(ゴールド)相場への印象と長期低迷銘柄の対比を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)と一線を画すプラチナに注目」として、プラチナと金(ゴールド)の国際価格を確認します。

前回述べた長期低迷銘柄には、どのようなものがあるのでしょうか。以下のグラフの通り、歴史的高値圏で推移する人気の金(ゴールド)と対照的なプラチナです。

同じ貴金属の金(ゴールド)の急騰劇を横目に2015年から長期的な低迷を演じているのは、同年に発覚したフォルクスワーゲン問題がきっかけ広がったディーゼル車への批判によって、プラチナの主要な用途である自動車排ガス浄化装置向けの需要が急減するとの思惑が広がったためだと、考えられます。

同年以降、プラチナは「長期低迷銘柄」になり、明確に金(ゴールド)と色分けがなされてしまいましたが、かえってこのことが、プラチナを投資の際の恐怖を低減する策にしたとも言えます。さらに注目したいのが、フォルクスワーゲン問題発覚時にやり玉に挙がった、自動車排ガス浄化装置向け需要の推移です。

WPICのデータによれば、2023年は問題が発覚した2015年とほぼ同等、2024年は2015年を上回る予想が出ています。コロナショックの際に一時的に減少したことや、問題発覚の影響で欧州での減少が見られましたが、近年は北米、中国、インドでの同需要の増加が目立っています。

増加の背景については、電気自動車の影響が及びにくい大型車(トラックやバス)の排ガス浄化装置向け需要が増えていること、北米や欧州の一部でハイブリッド車への回帰が起きていること、世界各国で排ガス規制が年々強化され、自動車一台当たりに使われる排ガス浄化装置向けの需要が増えたこと(浄化装置の機能向上を背景とした需要増加)などが考えられます。

もうほとんど、プラチナはフォルクスワーゲン問題の呪縛から解放された、さらに言えば、ようやく、長期視点の価格反発の地合いが整った、と言えるでしょう。

図:プラチナと金(ゴールド)の国際価格 単位:ドル/トロイオンス
図:プラチナと金(ゴールド)の国際価格 単位:ドル/トロイオンス
出所:LBMAのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。