月は語る?(NY金)

著者:菊川 弘之
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 米中貿易協議に関しては、まだまだ紆余曲折がありそうで、ヘッドラインに左右される相場展開が継続見通しだが、米下院が10月可決した「香港人権・民主主義法案」を、早ければ今週中にも上院も可決と報じられている。24日には、香港区議会議員選挙が予定されている中、香港情勢の緊張は増しており、米中貿易協議に大きく影響を与えると思われる。香港区議会議員選挙は、4年に1度行われ、定数は452議席。香港立法会は直接選挙で選ばれる議員は定数の半数だが、区議会議員選挙では、ほぼすべてが直接選挙で選ばれる。

 また、23日には韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効期限が訪れる。アジア情勢の緊張が高まる週となる。

 米株式市場では、リスクオンから主要3指数が史上最高値を更新、年内利下げ観測が後退しているが、香港の選挙・米中貿易協議次第で、再びリスク回避が高まるだろう。米国では、ウクライナ疑惑を巡るトランプ大統領弾劾の動き、欧州では12月12日の英選挙が波乱要因だ。中東では、イランが米国の核合意破棄に対抗して、ウラン濃縮度を高めている。リスク回避が高まった場合は、12月のFOMCでの利下げ期待も加わり、NY金の高値の節目を付けやすいと言われる新月(11/27)に向けて、金相場は下値を切り上げるだろう。足元のVIX先物の大口投機玉の売り越しの大きさは、あまりに楽観(リスクオン)に偏り過ぎのように感じる。

 アストロロージではダマシが出やすいと言われる「水星逆行」(10月31日~11月20日)が終了する。メリマンの重要変化日が11月22~24日。サイクルだけでなく、ファンダメンタルズからも重要イベントが重なる。明確なトレンド発生が出現する可能性もあろう。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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