[Vol.1818] 米国で「利下げ」は始まったばかり

著者:吉田 哲
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原油反落。サウジの目標原油価格の取消し報道などで。68.22ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,689.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は18,440元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年11月限は523.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1686ドル(前日比7.00ドル縮小)、円建てで7,787円(前日比35円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月26日 16時30分時点 6番限)
12,452円/g
白金 4,665円/g
ゴム 390.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,945円/mmBtu(24年12月限 9月24日17時26分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「米国で『利下げ』は始まったばかり」
前回は、「利下げ時に『株高・金高』が起きる理由」として、FRBの利上げ・利下げが及ぼす金(ゴールド)相場への影響を確認しました。

今回は、「米国で『利下げ』は始まったばかり」として、FF(フェデラルファンド)レートとNY金(ゴールド)価格の推移を確認します。

ウクライナ戦争が勃発した年(2022年)の金(ゴールド)相場の騰落が、「下落」だったことはあまり報じられていません。

教科書と違う、という理由で情報の発信者も情報の受け手も、この事実を受け入れにくいと感じているのかもしれません(都合が悪いのかもしれない)。ですが、どんな著名な投資家であっても、どんな大規模な金融機関の重役であっても、取引所で成立した価格を否定することはできません。取引所で決まった価格は「みんなで決めた価格」だからです。

ウクライナ戦争が勃発した2022年に金(ゴールド)相場が下落したことを説明することは簡単です。

インフレ退治と銘打ったFRBの急激な利上げによってドル高が進み、それにより発生した「代替通貨」起因の強い下落圧力が、「有事ムード」と「代替資産」起因の上昇圧力を相殺したためです。

利上げがもたらした「代替通貨」起因の下落圧力が、戦争が勃発した年の金(ゴールド)相場を押し下げた直接的な原因だったといえます。それほどまでに、近年の米国の金融政策は、金(ゴールド)相場に大きな影響を与えているといえます。

一方、利下げはどうでしょうか。先述の通り、株高でも金(ゴールド)高を発生させる要因です。そしてその利下げは、今まさに、始まったばかりです。CME(シカゴ先物取引所)グループが金利先物市場のデータを基にし、政策金利変更の織り込み度を算出するFed Watch Toolによれば、下の図のとおり、向こう1年以上、利下げが続くことが想定されています。

先日のFOMCで、中期視点で金(ゴールド)相場を強力にサポートし得る材料が出現したといえそうです。

図:FF(フェデラルファンド)レートとNY金(ゴールド)価格の推移
図:FF(フェデラルファンド)レートとNY金(ゴールド)価格の推移
出所:FEDおよびLBMAのデータ、Fed Watch Toolの資料を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。