[Vol.1828] SNSが株式市場を「実態以上」に押し上げた

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.61ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,629.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は18,345元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年11月限は556.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1660.1ドル(前日比5.25ドル縮小)、円建てで7,961円(前日比16円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月10日 大引け時点 6番限)
12,568円/g
白金 4,607円/g
ゴム 397.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,997円/mmBtu(24年12月限 10月09日17時55分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「SNSが株式市場を『実態以上』に押し上げた」
前回は、「SNSをきっかけに人間の『生き物』化が進行」として、国際学力調査「PISA」の結果(OECD主要23カ国平均)を確認しました。

今回は、「SNSが株式市場を『実態以上』に押し上げた」として、2010年ごろ以降の米国の主要株価指数の推移(1984年1月を100として指数化)を確認します。

SNSが普及し始めた2010年ごろ以降、情報の受け手は無意識にこれまで以上に「見たいものを見たい」と思うようになりました。SNSが、部分解釈、横と縦のつながりにおける浅い感覚に基づいた取捨選択、そして感情噴出の場であることを考えれば、自然な流れです。

こうした流れの弊害の一つが、「見たくないものを見ない」人が増えたことです。情報の発信者はこうした流れを感じ取り、これまで以上に「受け手が見たいものを見せてあげたい」と思うようになりました。いつの間にか「実態」と「思惑」の乖離(かいり)、つまり「経済の歪み」が大きくなってしまいました。

その結果、半年から1年程度先の「思惑(プラスの思惑は期待、マイナスの思惑は懸念)」を織り込み傾向があるとされる株式市場において、2010年ごろ以降、突出した上昇が目立ち始めました。

SNSで大きくなった情報の受け手の「見たい」という思いに、情報の発信者が「見せたい」と答え、それらが渦となって期待が膨張し、株価指数の上昇に拍車がかかりました。

株価指数の上昇が、需要(買い手)と供給(売り手)の立場が比較的平等で「実態」に近いとされるコモディティ(国際商品)を圧倒したことの説明は、SNSというキーワードを使わずに行うことは不可能でしょう。

図:2010年ごろ以降の米国の主要株価指数の推移(1984年1月を100として指数化)
図:2010年ごろ以降の米国の主要株価指数の推移(1984年1月を100として指数化)
出所:世界銀行およびQUICKのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。