[Vol.1829] 分断深化継続で金(ゴールド)は高止まり

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。74.91ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,655.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は18,100元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年11月限は570.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1671.1ドル(前日比8.00ドル拡大)、円建てで8,003円(前日比17円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月11日 17時59分時点 6番限)
12,658円/g
白金 4,655円/g
ゴム 391.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,997円/mmBtu(24年12月限 10月09日17時55分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「分断深化継続で金(ゴールド)は高止まり」
前回は、「SNSが株式市場を『実態以上』に押し上げた」として、2010年ごろ以降の米国の主要株価指数の推移(1984年1月を100として指数化)を確認しました。

今回は、「分断深化継続で金(ゴールド)は高止まり」として、2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認します。

以下は、SNSが民主主義の行き詰まりや世界分断深化に影響を与え、それらが戦争や資源国の出し渋りの原因となり、その結果として高インフレが残っていることを説明した資料です。

2010年代に起きた北アフリカ・中東地域における武力衝突を伴った民主化の波「アラブの春」や、2016年の英国がEU(欧州連合)離脱を決めた国民投票、同年のトランプ氏が勝利した米大統領選挙などに、深く、SNSが関わっているとされています。

これらは、SNS上で濁流と化した民意が民主主義の根幹を揺らした出来事として多くの人が記憶していると思います。SNSが民主主義を脅かす装置という側面を持っていることを示す、具体例です。

民主主義の行き詰まりは、西側が正義と考える非西側が勢力を拡大するきっかけになり得ます。その意味で、SNSは世界分断を深化させていると言えます。

筆者はSNSをきっかけとした「見えないジレンマ」は、金(ゴールド)相場を支える超長期視点のテーマに据えています。

SNSがスマホを介して世界的に普及→部分解釈、偏ったつながり、感情噴出が横行→人間の「生き物」としての性質が顕在化→国際的な学力低下、建設的な議論減少→「実態」よりも「思惑」優先→民主主義が行き詰まり→「世界分断」深化、という流れは、人間の根源的な性質を背景に進行しているため、逆流することは考えにくいと言えます。

つまりそれは、金(ゴールド)相場に超長期視点のゆっくりとした上昇圧力がかかり続けることを意味します。日々の細かい上下をこなしつつも、数年・数十年単位で見れば、金(ゴールド)相場は、上昇トレンドを描く可能性が高いと、筆者は考えています。

図:2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景
図:2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。