史上最高値更新の金相場、今後の見通しは?

著者:菊川 弘之
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 一方、副大統領の選出は、改選後の上院議会において、上院議員100人が1票ずつ投じ、51票を得た候補が勝利する。

 もし上院の方の副大統領の選出投票が1月20日までに進まない場合、今度は「修正第20条」などに定められている大統領継承順位が一時的に適用される。継承順位5によると、副大統領の次に指名されるのは下院議長。

 このようにもつれた場合、選挙後の大統領の正統性にも疑問が付けられるだろう。米国民の分断にも拍車がかかり、米国の覇権・ドルの基軸通貨体制は大きく揺らぎそうだ。

 ③シナリオの可能性は、現段階では低いものの、②から①へシナリオが移行しても、調整安が一巡した後は、いずれが大統領になっても米債務が増える方向に変化はなく、大きなテーマ「米覇権の揺らぎ・ドル基軸通貨体制の軋み」を背景に調整安は限定的。押し目は買い直されそうだ。

 新大統領が決まった段階で、「安全資産」としての上値は一旦、抑えられそうだが、米国の分断、国際秩序の再編過程において、金への資金シフトの流れは継続見通し。トランプ大統領の場合は、言動は別にして、外交はディール中心で地政学リスク縮小傾向に。一方、ハリス大統領の場合は、米国の正義を全面に出して異論は認めない姿勢から地政学リスクは高まると見た方が良いだろう。

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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