史上最高値更新の金相場、今後の見通しは?

著者:菊川 弘之
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 米大統領選挙は激戦州での大接戦が伝えられているが、2000年の大統領選挙時には、フロリダ州の再集計の結果を巡り、アル・ゴア陣営が再々集計を求めて訴えたが、最高裁がゴア側の訴えを退けた。この時の最高裁は「保守派4、リベラル派4、中道1」で判決は5対4だった。現在は、最高裁判事の構成が「保守派6、リベラル派3」と変化しており、トランプ陣営に再集計の際は、有利に働きそうだ。

 大統領選挙の投票は州ごとに行われ、勝者はその州の選挙人を獲得する。538人の全選挙人のうち、過半数の270人以上を獲得した候補が勝者となるが、今回の選挙では、どちらの候補も過半数を獲得できない可能性も潜んでいる。

 過半数を獲得する候補者がいない場合、修正第12条が適用され、「臨時選挙」が行われる。大統領を下院が、副大統領を上院が決定する。下院が大統領を選出したのは、1824年大統領選挙の時で、200年振りの非常事態が適用される可能性もある状況だ。

 問題となりそうなのが、下院が大統領を決定する際に各州に、それぞれ1票しか与えられず、その一票の決め方も各州でバラバラとなる可能性が高いことだ。人口58万人のワイオミング州が1票、3900万人で下院議員が52人もいるカリフォルニア州も1票ということになる。当選には50州の過半数である26票が必要となる。

 いずれの候補も過半数を獲得できない場合、大統領の選出は、2025年1月に招集される新たな議会に委ねられる。

 投票は改選後の下院で行うため、大統領選挙だけでなく、下院議会選挙の行方も重要なポイントとなる。11月の選挙では「同数」であるノースカロライナ州とミネソタ州がどうなるか。あるいは「民主党9議席、共和党8議席」と競っているペンシルベニア州がどうなるかによって、「下院からの1票」の行方も変わってくる。1票の選び方で各州が紛糾するのは間違いないだろう。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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