[Vol.1861] SNSは情報戦・心理戦の「ドローン」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。69.14ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,669.59ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は18,125元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年01月限は526.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1731.09ドル(前日比1.91ドル縮小)、円建てで8,411円(前日比33円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月28日 19時12分時点 6番限)
12,992円/g
白金 4,581円/g
ゴム 370.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,252円/mmBtu(25年3月限 11月19日17時18分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「SNSは情報戦・心理戦の『ドローン』」
前回は、「SNSの影響を考える上で重要な『2010年』」として、世界のスマートフォン販売台数を確認しました。

今回は、「SNSは情報戦・心理戦の『ドローン』」として、SNSが各種戦いに与える影響を確認します。

戦いにおける「ドローン」は、攻撃する側の損害を最小限にし、相手に大きなダメージを与える手段の一つです。筆者は、SNSは情報戦・心理戦におけるドローンであると、考えています。以下は、打撃戦、情報戦、心理戦の三つの戦いの概要と関係を示した図です。

打撃戦は直接的に、建物、インフラなどのモノや要人、市民などのヒトに損害を与えるための戦いです。現代では銃、戦車、戦闘機、戦艦、爆弾、ミサイル、ドローンなどが用いられます。

情報戦は間接的に、民主主義などの思想や世界平和などの秩序に損害を与えるための戦いです。情報操作を行うために、怪文書、偽造文書、フェイクニュースなどが用いられます。心理戦は間接的に、尊厳などの心(精神)に損害を与える戦いです。印象操作や脅迫、各種トラップなどのために、見せしめやいけにえなどが行われることがあります。

こうした三つの戦いは、補完し合っています。物理的な戦いが目立つ状態では、目に見える打撃戦が中心ですが、打撃戦に関わる情報戦・心理戦が同時進行します。物理的な戦いを伴わない戦い(過去の事例は、東西冷戦、貿易戦争、資源争奪戦など)においては、情報戦と心理戦が中心になります。

情報戦・心理戦に深く関わっているのが、SNSです。情報戦の要(かなめ)である情報操作、心理戦の要である印象操作に、SNSが深く関わることができるからです。

SNSのおススメ機能によって、関心を持っていると思われる人の画面に情報操作・印象操作に関わる情報が自動的に掲載されたり、自動的に翻訳する機能によって、異なる言語を使う人に同情報が伝わったりする可能性があります。こうしたことを経て多数の人が注目する「バズった」状態になった場合、より深く情報戦と心理戦に関わることになります。

今や、SNSは情報戦・心理戦を行う上で欠かせないツールだと言えるでしょう。SNSを使えばスマートフォン一つで、一度に広範囲に、安価で手軽に情報戦・心理戦を仕掛けたり、加担したりすることができます。

その意味で、攻撃する側の損害を最小限にし、相手に大きなダメージを与え得るツールであるSNSは、情報戦・心理戦を行う際のドローンだと言えるかもしれえません。

図:SNSが各種戦いに与える影響
図:SNSが各種戦いに与える影響
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。