週刊石油展望

著者:三浦 良平
ブックマーク
 先週末のWTI原油は先週比1.12ドル高の58.11ドル、ブレント原油は1.02ドル高の63.51ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。米中通商協議の先行きへの警戒感が和らぎリスクオフムードが後退、史上最高値を更新した米株式とともに値を伸ばした。クドロー米国家経済会議委員長が第1段階の合意取りまとめに近いとの認識を示したほか、ロス米商務長官も第1段階目の合意に到達する可能性はかなり高いと述べたことが材料視された。

 週明け18日は先週末から一転、第1段階の合意署名に「中国側が悲観的になっている」との報で反落。トランプ米大統領が関税の撤回をためらっていることが要因として伝えられた。マーケットでは年内の合意署名実現期待が後退、売りに押されることとなった。翌19日も大幅続落となる。OPEC総会及びOPECプラス会合を来月上旬に控える中で、ロシアは減産強化について同意する可能性は低いと伝わり相場を圧迫、ただし、来年3月までとなっている減産期間の延長については参加の構えであるという。協調減産枠の拡大期待が後退し、ほぼ一本調子で下落することとなった。20日は大幅反発。EIA在庫統計にて原油在庫が前週比+140万バレルとなり、前日のAPI統計では+600万バレルが示されていたことから買いが拡がった。また、露プーチン大統領がロシアは協調減産合意の下での協力を継続していく、と述べたことから、前日萎んだ協調減産の拡大期待が再び膨らんだことも好材料。さらに、米海軍の空母軍がホルムズ海峡を通過してペルシャ湾に入ったと発表し、中東の地政学的リスクも意識された模様だ。21日も流れを引き継いで続伸。OPECプラ スが来年3月までとなっている減産期間を6月まで延長する可能性が高いと伝わったことが好感されたほか、米国が中国と第一弾合意に達しなくとも来月の対中関税強化を見送る可能性があると報じられたことも支えとなった。

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。