アラムコの売上高の多くはサウジ国内での原油生産によるもの

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。58.11ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,464.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は12,585元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年01月限は460.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで562.65ドル(前日比0.75ドル縮小)、円建てで1,942円(前日比9円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(11月26日 19時37分頃 先限)
 5,098円/g 白金 3,156円/g 原油 39,830円/kl
ゴム 189.0円/kg とうもろこし 23,290円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「アラムコの売上高の多くはサウジ国内での原油生産によるもの」

前回は「サウジアラムコ、タダウル市場で900億リヤルの調達へ」として、12月にタダウル市場で株式を公開しようとしているアラムコが調達し得る金額について書きました。

今回は「アラムコの売上高の多くはサウジ国内での原油生産によるもの」として、アラムコの売上高の部門別・地域別について書きます。

以下のとおり、アラムコの売上高においては、部門別でみると川上部門が65.7%、川下部門が34.2%です。

川上部門とは、探索・開発・生産・輸送など原油に直接的に関わる部門です。川下部門とは、原油を精製した石油製品に関わる部門です。

アラムコの売上高全体のおよそ3分の2が川上部門であるため、石油製品よりは原油に直接的に関わる部門による収益が大きいことがわかります。

また、地域別では、8割以上がサウジ国内であることがわかります。

部門別・地域別、両方を合わせて考えれば、アラムコの売上高の多くは、“サウジ国内”における“原油や天然ガスの生産”によるものであると言えます。

サウジ国内での原油生産といえば、以前の「サウジアラムコ≒サウジアラビア」で書いた通り、アラムコの原油と天然ガスの生産はサウジ全体の70%以上、100%近くのシェアを占めていました。

つまり、アラムコはサウジの石油部門の大部分のシェアを占め、サウジは石油収入の大部分をアラムコによって得ていることになります。

サウジの歳入の60%から70%が石油部門によるものというデータがありますが、その大部分をアラムコが稼いでいることになります。

サウジは、サウジの“化身”あるいは“生命線”ともいえるアラムコが上場することを、何としてでも成功に導く覚悟を決めているとみられます。

そのために、減産延長が必要だ、と言うことになります。

図:サウジアラムコの売上高について(2018年)
サウジアラムコの売上高について(2018年)

出所:海外メディアの情報をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。