悪い円安? 消去法的日経買い? 円建て金の優位性継続

著者:菊川 弘之
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 20日は加藤財務相や三村財務官が「行き過ぎた動きには適切な対応をとる」と発言したことで、介入警戒感から持ち高調整や利益確定の円買いが広がったものの、ドル円の下値は限定的。

 過去の介入時の200日移動平均線との乖離率を比べると、テクニカル的な過熱感も乏しい状況。年前半の円安局面は、「円キャリ-」主導の投機的な側面が強かったが、マイナス金利解除を織り込む形で日米の金利差は縮小しており、大口長期玉の過去最高水準に拡大した買い越しは整理されている。

 大口投機玉のポジションは偏っておらず、新NISAの外国株買いに伴うドル買いや、いわゆる「デジタル赤字」が円売り要因で、日本の稼ぐ力が落ち込んでいる。更に、円安の根本原因は、日銀が長らく続けてきたゼロ金利政策や、異次元緩和と称し、日本円を刷り続けたのが主因だ。

 「痛みを伴う」金融正常化ができないなら、過去の歴史が物語るように、財務上の問題を抱える国の通貨は、いずれ加速度的に売られる。

 制御できない円売りが来るか否かは、まずは1月の日銀金融政策決定会合が焦点だ。1月の利上げを実施しないと、日銀は動けないとの思惑が高まり、円売り加速となるリスクは高まっている。

 12月25日の植田日銀総裁の経団連審議員会での講演内容や、27日の「金融政策決定会合における主な意見」でも、金融政策に関しては、ハト派的意見とタカ派的意見が半々で、市場の反応も限定的。ドル円のレンジが140-160円内でとどまるのか、150円水準が下値支持に変化してレンジアップしていくのかは、1月の日銀金融政策決定会合での姿勢と、トランプ新政権の通貨政策次第だ。1月早々に、本邦当局が止めれない円安が来るのか否か、大きな山場を迎えそうだ。

 ドル円相場には「1月効果」(1月のトレンドが1年のトレンドを決める)と言うアノマリーもある。

ドル円(日足)200日移動平均線
ドル円(日足)200日移動平均線
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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