[Vol.1892] ポートフォリオ内で猫と犬を飼う感覚

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。78.40ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,738.11ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は17,475元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年03月限は631.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1790.16ドル(前日比12.34ドル縮小)、円建てで8,996円(前日比23円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月17日 17時18分時点 6番限)
13,615円/g
白金 4,619円/g
ゴム 383.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「ポートフォリオ内で猫と犬を飼う感覚」
前回は、「きらびやかさ、耐え忍ぶ力強い動きは続く」として、金(ゴールド)とプラチナ価格の推移を確認しました。

今回は、「ポートフォリオ内で猫と犬を飼う感覚」として、金(ゴールド)とプラチナ価格の推移(長期)を確認します。

伝統的に人間に愛され続けてきた猫と犬、飼うならばどちらでしょうか。きらびやかに高値を更新し続け、時には株高時でもドル高時でも気まぐれに上昇する金(ゴールド)と、低位で安定し、超長期視点の価格反発を目指して力強く推移するプラチナ、買うならばどちらでしょうか。

同じ家庭で複数の種類の動物を飼う「多品種飼い」は難しいケースがあると言われています。猫と犬を同時に飼うことについては、飼い主をめぐりお互いをライバル視したり、室内にいるケースが多い猫が外出する頻度が高い犬が持ち込んだ病原菌に侵されたりする懸念があったりするため、現実的ではないと指摘する専門家もいます。

このため、飼うとしても、猫か犬、どちらか一方が選択されるケースがほとんどです。(猫と犬、両方を飼っていると回答した人の割合は1.2%程度だった、という調査もある)

しかし、貴金属の投資はどうでしょうか。金(ゴールド)とプラチナは同時に保有することができます。「多品種買い」が可能なのです。これにより、きらびやかで気まぐれな猫のような値動きと、低位安定で耐え忍ぶ力強い犬のような値動きの両方を、同時に享受できる可能性があります。

金(ゴールド)とプラチナの多品種買いの際、それぞれの特徴を生かし、きらびやかで気まぐれに動く金(ゴールド)はスポットで売り買いをしつつ、低位で安定して耐え忍ぶ力強さを伴って動くプラチナは積み立てで買う、というアイデアが考えられます。

猫を飼う動機と犬を飼う動機が必ずしも同一でないのは、猫と犬の特徴が異なるためです。この点と同様に、金(ゴールド)を買う動機とプラチナを買う動機は必ずしも同一にはなりません。金(ゴールド)とプラチナの特徴が異なるためです。

特に「多品種買い」の場合は、単品買いの時よりも一層、特徴の違いに留意する必要があります。これは「多品種買い」の投資効率を高めるためにも、欠かせないポイントです。

スポットで売り買いをする手段には、純金積み立てのサービスにあるスポット購入・売却、関連するETF(上場投資信託)の売買、関連する商品先物や商品CFDの売買などが挙げられます。積み立てで買う手段には、純金積み立てのサービスにある積み立てで購入する、などが挙げられます。

猫に接する感覚で金(ゴールド)に、犬に接する感覚でプラチナに向き合いながら「多品種買い(飼い)」を進めることで、これまで知り得なかった貴金属投資の世界が開けてくると、筆者は考えています。

図:金(ゴールド)とプラチナ価格の推移(長期) 単位:ドル/トロイオンス

出所:世界銀行のデータより筆者作成 イラストはPIXTA

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。