[Vol.1913] 第一の矢:有事+株・ドルとの逆相関

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。71.65ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,925.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は17,870元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年04月限は561.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1911.9ドル(前日比30.40ドル拡大)、円建てで9,547円(前日比15円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月18日 17時44分時点 6番限)
14,278円/g
白金 4,731円/g
ゴム 375.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,355円/mmBtu(25年4月限 2月13日17時22分時点)

●NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「第一の矢:有事+株・ドルとの逆相関」
前回は、「金(ゴールド)相場、高値更新続く」として、金(ゴールド)の国際相場に関わる七つのテーマ(2025年2月時点)を確認しました。

今回は、「第一の矢:有事+株・ドルとの逆相関」として、FRBの利上げ・利下げが及ぼす金(ゴールド)相場への影響を確認します。

前回述べた、2010年ごろ以降から続く長期の上昇トレンドを支える要因の一つ「第一の矢」は、短期視点の上昇トレンドを支える要因です。

以下の図のとおり、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ方針によるドル安観測がきっかけで、代替通貨(ドルとの逆相関)起因の上昇圧力が生じています(図内A)。これに加え、トランプ政権2期目(トランプ2.0)が始動し、さまざまな不安が大きくなっていることがきっかけで、有事ムード(資金の逃避先需要)起因の上昇圧力が生じています(図内B)。

一方、トランプ2.0始動後、局所的な景気回復ムードが米国の株価指数を歴史的な水準で高止まりさせていることがきっかけで、代替資産(株との逆相関)起因の下落圧力が生じています(図内C)。

足元は上昇圧力(A+B)と下落圧力(C)が交錯しながら、やや上昇圧力が勝っている状態、といえます。短中期視点で、株高でも金(ゴールド)高が起きているのはこのためです。

今後の展開については、トランプ2.0が始まったことで、世界に多種多様な不安が拡大する可能性があり、有事ムード起因の上昇圧力(図内B)が強まる可能性があります。また、市場ではFRBの「利下げ」の方針が予想されていることから、代替通貨起因の上昇圧力(図内A)も継続する可能性があります。

トランプ政権が振りまく局所的な強い期待と、利下げ方針がもたらす景気回復期待が相成り、代替資産起因の下落圧力(図内C)が目立つ可能性があるものの、この下落圧力は引き続き、上昇圧力(A+B)に相殺される可能性があります。「第一の矢」は今後も、細かい上下をもたらしながらも、金(ゴールド)相場を短中期的に支えると考えられます。

図:FRBの利上げ・利下げが及ぼす金(ゴールド)相場への影響
図:FRBの利上げ・利下げが及ぼす金(ゴールド)相場への影響
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。