サウジ、減産延長を想定せず!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の上昇などで。55.99ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの上昇などで。1,462.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は12,640元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年01月限は451.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで568ドル(前日比4.3ドル縮小)、円建てで1,970円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(12月2日 17時16分頃 先限)
 5,125円/g 白金 3,155円/g 原油 38,850円/kl
ゴム 189.5円/kg とうもろこし 23,720円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「サウジ、減産延長を想定せず!?」

今回は「サウジ、減産延長を想定せず!?」として、先週、海外通信社が公表した11月のOPECの原油生産量のデータから、サウジの原油生産量について書きます。

筆者は以前、「実は始まっていた!?サウジの“駆け込み増産”」で、サウジが、あらかじめ増産をし、今後新たに実施する減産において、実質的に生産量の削減を行わなくて済むようにする施策“駆け込み増産”を行っていると書きました。

その際、10月までの原油生産量を参照していましたが、11月29日(金)に、海外メディアが11月のOPEC各国の原油生産量を公表したため、改めて、サウジにおける駆け込み増産の有無を確認します。

もちろん、海外メディアが月末月初に公表するOPEC加盟国の原油生産量は、当該海外メディア独自の調査によるものであり、毎月2週目以降に複数の専門機関が公表する原油生産量とは大差はないものの、同一ではありません。

その海外メディアのデータによれば、以下の図のとおり、11月のサウジの原油生産量は10月に比べてやや減少しました。

仮に“駆け込み増産”の最中であれば、11月は10月よりも生産量が増えていてしかるべきと考えていましたが、逆に減少しました。

駆け込み増産を行っていないとなると、将来の減産実施(今回の場合であれば2020年4月以降の減産実施)を想定していない可能性が浮上します。

もしくは、駆け込み増産なしで減産を実施する用意がある、あるいは12月以降、3月までに駆け込み増産を実施する、などの可能性もあります。

このデータにより、12月5日(木)と翌6日(金)の会合で減産を延長するかどうか、さらに不透明になったと考えられます。

また、会合まで1週間を切っていますが、まだ会合の詳細なスケジュールが公表されていません。

事前の調整が難航しており、今年6月の会合の時のように延期となる可能性もゼロではありません。

図:サウジの原油生産量 単位:百万バレル/日量
サウジの原油生産量

出所:海外主要メディアのデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。