[Vol.1931] 金(ゴールド)相場「3000ドル」到達

著者:吉田 哲
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原油反発。ドル指数の反落などで。67.63ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米主要株価指数の反発などで。2,998.39ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は16,920元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年05月限は523.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1987.09ドル(前日比0.81ドル縮小)、円建てで9,753円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月17日 18時02分時点 6番限)
14,400円/g
白金 4,647円/g
ゴム 342.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,025円/mmBtu(25年7月限 3月17日17時49分時点)

●NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)相場『3000ドル』到達」
前回は、「出し渋りへの警戒感が長期底上げの主因」として、原油・銅・小麦の価格推移(2000年を100として指数化)を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)相場『3000ドル』到達」として、NY金(ゴールド)先物価格の推移(1時間足終値)を確認します。

各種メディアで「3000ドル到達」の文字が躍ったのは、日本時間3月14日の早朝でした。13日の米国時間の取引で、ニューヨークの金(ゴールド)先物価格が1トロイオンスあたり3000ドルを超えました。史上初の出来事でした。

国内外の金(ゴールド)価格は、2000年ごろ以降、大変な急騰状態にあります。こうした急騰状態にあってなお、3000ドルという新しい節目に到達しました。

3000ドル到達を、関税引き上げ合戦や中東地域での混乱を引き起こすトランプ氏の政策への不安、ドル覇権の崩壊危機などがもたらす「有事ムード」が大きくなっているから、という趣旨で説明するコメントが多い印象を受けます。実際はどうだったのでしょうか。

以下のグラフは、3000ドル到達直前・直後の値動きを示しています。3月11日ごろまでは2900ドル台前後で、やや頭打ち感がある状態で推移していました。しかし、13日に騰勢を強め始め、14日にはさらに勢いを増し、その流れで3000ドルに達しました。

3月12日から14日のたった三日間で、最大約100ドルもの上昇が見られました。3000ドル到達の直接的なきっかけは、この間に発表された米国の複数の物価関連指標と景況感を示す経済指標が弱かったこと、と考えるのが自然でしょう。

「ドル覇権の崩壊危機」については、時間軸が超長期の材料です。このため、この材料が3000ドル到達に直接的にかかわったとは考えにくいでしょう。

図:NY金(ゴールド)先物価格の推移(1時間足終値) 単位:ドル/トロイオンス
図:NY金(ゴールド)先物価格の推移(1時間足終値) 単位:ドル/トロイオンス
出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。