[Vol.1932] 3,000ドル到達の立役者は利下げ加速観測

著者:吉田 哲
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原油反発。中東情勢の混迷などで。68.17ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,034.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は16,965元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年05月限は526.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2001.05ドル(前日比21.45ドル拡大)、円建てで9,912円(前日比36円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(3月18日 17時35分時点 6番限)
14,644円/g
白金 4,732円/g
ゴム 346.6円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,025円/mmBtu(25年7月限 3月17日17時49分時点)

●NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「3,000ドル到達の立役者は利下げ加速観測」
前回は、「金(ゴールド)相場『3000ドル』到達」として、NY金(ゴールド)先物価格の推移(1時間足終値)を確認しました。

今回は、「3,000ドル到達の立役者は利下げ加速観測」として、9月から12月までのFOMCにおける3.75~4.00%への利下げ確率の推移を確認します。

3,000ドル到達の直接的なきっかけは、米国の物価関連指標である、CPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)がともに、事前予想と前回よりも弱かったことを受け、頓挫しかかっていた利下げの温度感が高まったことだったといえます。

そこに、米国の足元の景況感を示す指標の一つであるミシガン大学消費者態度指数が大幅に弱かったことを受け、米国の複数の主要株価指数が乱高下したことが拍車をかけました。

実際に、以下の通り、米CPIとPPIが弱かったことを受け、米国の利下げの確率が上昇しています。米国の利下げは、ドル安観測を強め、「世界のお金」という共通点を持つドルと金(ドル建てゴールド)の対比において、金(ドル建てゴールド)が優位になる思惑を強めます。

この場合、「将来的に利下げが行われそう」という思惑が重要です。実際に利下げが行われなかったとしても、先々、将来的に、いずれかのタイミングで利下げが行われる可能性があるのであれば、利下げ確率の上昇、およびそれに追随した金(ゴールド)相場の上昇は起き得ます。

図:9月から12月までのFOMCにおける3.75~4.00%への利下げ確率の推移
図:9月から12月までのFOMCにおける3.75~4.00%への利下げ確率の推移
出所:Fed Watch Toolのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。