なるか!?削減幅の拡大。現行の削減目標を確認

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。58.20ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,480.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は13,200元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年01月限は455.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで586.35ドル(前日比7.95ドル拡大)、円建てで2,025円(前日比24円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(12月5日 18時22分頃 先限)
 5,155円/g 白金 3,130円/g 原油 39,600円/kl
ゴム 197.1円/kg とうもろこし 23,590円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「なるか!?削減幅の拡大。現行の削減目標を確認」

今回は「なるか!?削減幅の拡大。現行の削減目標を確認」として、本日のOPEC総会で期待される“削減幅の拡大”に関連し、現行の減産の削減目標を確認します。

OPECプラスが今年1月から実施している協調減産における、各国の削減目標は2018年12月の会合で決定したものです。内容は以下の通りです。

OPECプラス全体の削減目標は、表の右下の通り、日量119万5000バレルです。

基準は原則2018年10月の生産量である日量4506万9000バレルで、この基準となる生産量から、全体として2.7%、削減することになっています。

削減幅の議論はいろいろありますが、基準となる生産量はどれくらいか?ということが非常に重要です。

以前の「実は始まっていた!?サウジの“駆け込み増産”」で述べたとおり、ほぼ意図的に(?)基準を引き上げるためにあらかじめ増産をし、減産開始後に、増産前の水準に生産量を戻す(減らす)だけで、減産を順守することが容易になります。

単純に日量120万バレル削減していた減産を、今度は日量150万バレルにする、つまり日量30万バレル削減幅を拡大する、という決定が今日の総会で決まったとしても、“基準となる生産量を2020年2月とする”、という条件がついた場合は要注意です。

つまり、2020年2月までに、OPECプラスは、基準を引き上げるために“駆け込み増産”を行う可能性があるからです。

減産延長が決定したという安心感から買いが集まり、原油価格は上昇する可能性がありますが、その裏では、基準となる生産量を引き上げ、4月以降の減産を有利に進めるべく、増産を開始する可能性があります。

削減目標を拡大した上で、基準が11月であれば、OPECプラスは真剣に、世界の石油の過剰在庫を減らそうとしていると言えると思います。まずは、今晩の結果に、注目です。

図:OPECプラスの協調減産における現在の削減目標(2018年12月に決定)
単位:千バレル/日量
OPECプラスの協調減産における現在の削減目標(2018年12月に決定)

出所:OPECの資料をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。