[Vol.1959] 今まさに海の向こうに目を向ける好機

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。63.11ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。3,313.61ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は14,790元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年06月限は494.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2347.46ドル(前日比23.24ドル縮小)、円建てで10,999円。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月25日 15時19分時点 6番限)
15,345円/g
白金 4,346円/g
ゴム 291.6円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,097円/mmBtu(25年7月限 3月21日17時47分時点)

●NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「今まさに海の向こうに目を向ける好機」
前回は、「原油国際価格は長期視点で高止まりか」として、足元の原油相場を取り巻く環境(2025年4月8日ごろ以降)を確認しました。

今回は、「今まさに海の向こうに目を向ける好機」として、OPECプラスの減産(イメージ)を確認します。

日本は、世界有数の原油消費国です。日本で生活をしていると、つい消費に目を奪われがちですが、海の向こうの石油を生産してくれている国々にも、目を向けなければなりません。

OPECプラス※は現在、協調減産(ベースになる減産)と、自主減産(有志国による一時的な減産)の二階建てで、原油の減産を実施しています。

※OPECプラスは、OPEC(石油輸出国機構)に加盟する12カ国と、非加盟の産油国11カ国の合計23カ国で成り立つ、産油国のグループです。そのうち減産に参加する国は合計19カ国で、その生産シェアはおよそ46%に上ります。(2025年2月現在)

OPECプラスは2024年12月の会合で、協調減産の実施期間を2026年12月までに延長することを決定しました。同時に、自主減産を2025年4月から縮小し始め、2026年後半に終えることを決定しました。そして4月、予定通り自主減産の縮小が始まりました。

協調減産の継続は、長期視点の需給引き締め・原油相場の高値維持策、自主減産の縮小は、短期視点の生産シェア維持などの意味があります。

産油国は日本と異なり、原油価格の高値維持を望んでいる節があります(だからこそ、協調減産を維持している)。日本のガソリン小売価格は、こうした国々の動向が深く関わってできていることを、認識する必要があります。

ガソリン小売価格が高いからこそ、海外の産油国の動向に目を向けなければなりません。日本政府や日本銀行にできることには限りがあります。

ガソリンの原材料を生産している(してくれている)産油国とのコミュニケーションが、実は最も効果がある、ガソリン小売価格を下げる手段なのかもしれません。

図:OPECプラスの減産(イメージ) 単位:万バレル/日量
図:OPECプラスの減産(イメージ) 単位:万バレル/日量
出所:ライスタッド・エナジー、JODIのデータおよびOPECの資料を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。