[Vol.1960] まさに「名実ともに」最高値更新

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。ドル指数の反発などで。63.01ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。3,291.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年09月限は14,730元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年06月限は498.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2307.3ドル(前日比18.20ドル縮小)、円建てで10,887円(前日比50円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月28日 17時34分時点 6番限)
15,277円/g
白金 4,390円/g
ゴム 291.3円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,097円/mmBtu(25年7月限 3月21日17時47分時点)

●NY金先物 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「まさに『名実ともに』最高値更新」
前回は、「今まさに海の向こうに目を向ける好機」として、OPECプラスの減産(イメージ)を確認しました。

今回は、「まさに『名実ともに』最高値更新」として、海外金(ゴールド)現物の実質価格の推移(月間平均、2025年3月を基準とする)を確認します。

金(ゴールド)相場が、歴史的高値圏で推移しています。海外の現物価格は1トロイオンス(約31グラム)あたり3200ドル近辺、国内の小売価格は1グラムあたり15,000円近辺です。4月下旬には3500ドル近辺、17,000円近辺に達する場面もありました。

これらの金(ゴールド)価格の長期視点の推移を確認すると、足元の水準が、過去およそ50年間の中で最も高いこと、そして足元の急騰劇が過去の高急騰に比べて勢いがあることがわかります。

物価水準を整えた実質価格においても、歴史的高値圏で推移しています。以下は、2025年3月を基準とした物価動向を加味した実質価格の推移です。市場で形成される価格が名目価格、物価動向を加味した価格が実質価格です。

1980年前後に急騰劇がありました。第四次中東戦争、イラン革命、在イラン米国大使館人質事件、旧ソ連のアフガニスタン侵攻などが相次いで勃発したタイミングです。足元の価格水準は、「有事の金(ゴールド)」というイメージが社会に定着するきっかけとなった、あのタイミングの高値をも、超えています。(月間平均ベース)

まさに今、金(ゴールド)相場は、「名実ともに」歴史的高値で推移しています。過去の常識にとらわれず、しっかりと今と向き合うことが、未来を照らす正しい一歩になると、筆者は確信しています。

図:海外金(ゴールド)現物の実質価格の推移(月間平均、2025年3月を基準とする) 単位:ドル/トロイオンス
図:海外金(ゴールド)現物の実質価格の推移(月間平均、2025年3月を基準とする) 単位:ドル/トロイオンス
出所:LBMA、セントルイス連銀のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。