[Vol.1967] トランプ関税のあおりを受ける大豆

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。62.98ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反落などで。3,233.64ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は15,025元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年06月限は482.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2250.09ドル(前日比92.31ドル縮小)、円建てで10,986円(前日比2円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月12日 18時06分時点 6番限)
15,441円/g
白金 4,455円/g
ゴム 313.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,097円/mmBtu(25年7月限 3月21日17時47分時点)

●シカゴ大豆先物 月足  単位:ドル/ブッシェル
シカゴ大豆先物 月足  単位:ドル/ブッシェル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「トランプ関税のあおりを受ける大豆」
前回は、「米国発、世界の民主主義後退に警戒」として、2010年ごろ以降の世界分断と高インフレ(長期視点)の背景を確認しました。

今回は、「トランプ関税のあおりを受ける大豆」として、トランプ2.0始動後、約100日間で生じた大豆におけるトピックを確認します。

以下は、中国における大豆の輸入状況を示しています。中国は主に米国とブラジルから、交互に大豆を輸入しています。

米国からの輸入がピークを迎えるのは2月前後、ブラジルからの輸入がピークを迎えるのが8月前後です。中国は、季節が真逆という特性を利用して、北半球と南半球から分散し、年間を通じて輸入量を維持しています。

中国が報復措置として、米国産大豆の輸入関税を引き上げたことで、米国産大豆が中国で出回る量が減少する懸念があります。以下の通り、中国の米国への穀物輸入依存度において、大豆は突出して高いことがわかります。

中国の報復関税が本格化すれば、中国でのモノ不足と、米国でのモノ余りが同時進行する可能性があります。ただし、今のところ、北半球に、米国ほど大豆を生産できる国はないため、米国でのモノ余りよりも中国でのモノ不足が目立つ可能性があります。

こうした関税問題に関わる動きは、大豆相場の短中期的な動向に影響を与えるきっかけになり得ます。

図:大豆:トランプ2.0始動後100日間のトピック
図:大豆:トランプ2.0始動後100日間のトピック
出所:中国の貿易統計より筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。