[Vol.1969] 長期視点の底値切り上げ「パラダイムシフト」

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。63.31ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。3,240.24ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年09月限は15,235元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年06月限は486.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2243.89ドル(前日比11.71ドル縮小)、円建てで10,860円(前日比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月14日 17時00分時点 6番限)
15,400円/g
白金 4,540円/g
ゴム 318.8円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,097円/mmBtu(25年7月限 3月21日17時47分時点)

●シカゴ大豆先物 月足  単位:ドル/ブッシェル
シカゴ大豆先物 月足  単位:ドル/ブッシェル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「長期視点の底値切り上げ『パラダイムシフト』」
前回は、「食品価格高騰は『長期的な大問題』」として、食品に関わる国際商品の価格を押し上げている材料(2025年5月時点)を確認しました。

今回は、「長期視点の底値切り上げ『パラダイムシフト』」として、穀物の国際商品の価格推移を確認します。

下のグラフは、穀物の主要品目であるトウモロコシ、大豆、小麦の価格推移です。1970年代後半と2010年前後に、長期視点の価格水準が切り上がっていることが分かります。

また、穀物と同様、チョコレートやコーヒー、オレンジジュースなどの嗜好品の原材料価格も、2010年前後に長期視点の底値切り上げています。

これまで長期にわたって維持されてきた価格の水準感が、劇的に変化しました。これはさまざまな分野において、均衡点が劇的に変化する「パラダイムシフト」だったと言えます。

2010年前後に、私たちの生活に直接的に関わる食品の原材料価格において、パラダイムシフトが起きました。このことこそが、食品価格の高騰が収まらない原因であると、筆者は考えています。

パラダイムシフトの背景には、前回述べた(3)から(9)の長期視点の材料が深く関わっていると考えられます。これらの材料はトランプ関税や一過性の天候不順など、短期視点の材料と異なり、長期視点で食品の原材料価格を押し上げ続けます。

図:穀物の国際商品の価格推移
図:穀物の国際商品の価格推移
出所:世界銀行のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。