[Vol.2057] 値動きの要因まとめ、利下げも上昇圧力

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。63.72ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。3,706.12ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。26年01月限は15,570元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年11月限は491.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2308.92ドル(前日比32.28ドル縮小)、円建てで11,298円(前日比19円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月18日 18時23分時点 6番限)
17,548円/g
白金 6,250円/g
ゴム 312.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NYプラチナ先物 月足 単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「値動きの要因まとめ、利下げも上昇圧力」
前回は、「自動車排ガス浄化装置向け需要は『復活』」として、プラチナの自動車排ガス浄化装置向け需要の推移を確認しました。

今回は、「値動きの要因まとめ、利下げも上昇圧力」として、プラチナ市場を取り巻く環境(2025年)を、確認します。

プラチナ市場を取り巻く環境を確認します。青の矢印で示した下落圧力を発生させている複数の材料と、赤の矢印で示した上昇圧力を発生させている複数の材料が同時に存在しています。これらの材料は、短中期、中長期、超長期、いずれかに分類されます。

足元の短期視点の価格反発においても、複数の材料がもたらす上下の圧力がきっかけで発生していると考えられます(価格反発は一つの材料で発生していない)。

貴金属の最主要銘柄である金(ゴールド)相場が上昇・高止まりしていること、関税交渉の楽観論や米国の利下げ推進観測が大きくなり、世界景気の回復をきっかけとした需要増加期待が浮上していること、「急減する」と言われた自動車排ガス浄化装置向けの需要が回復していること、などです。

特に、8月半ばあたりから目立っている米国の利下げ推進観測は、二つの経路で、プラチナ相場に上昇圧力をかけていると考えられます。

金利が下がると個人や企業が資金調達をしやすくなる→景気回復期待浮上→自動車排ガス浄化装置など産業用需要の回復期待増幅、という経路と、ドル金利が低下して相対的に金(ゴールド)を保有する妙味増加→貴金属の最主要品目である金(ゴールド)相場高止まり→同じ貴金属のプラチナにも買いが集まる、という経路です。

フォルクスワーゲン問題の呪縛から解放されたことだけでなく、金(ゴールド)相場の上昇や、世界経済の回復期待なども、プラチナ相場を支えていると言えます。

図:プラチナ市場を取り巻く環境(2025年)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。