米国の石油輸出国化を主導したのは輸出増?輸入減?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。59.99ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,481.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は13,090元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年02月限は470.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで547.55ドル(前日比4.85ドル縮小)、円建てで1,915円(前日比6円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(12月16日 19時28分頃 先限)
 5,190円/g 白金 3,275円/g 原油 41,020円/kl
ゴム 199.4円/kg とうもろこし 24,390円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米国の石油輸出国化を主導したのは輸出増?輸入減?」

前回は「サウジアラムコの時価総額、一時2兆ドル到達」として、12月11日にサウジ国内市場に上場したサウジアラムコの株価が上昇し、取引開始2日目に同社の時価総額が一時、2兆ドルを超えたことについて書きました。

今回は「米国の石油輸出国化を主導したのは輸出増?輸入減?」として、11月29日に米エネルギー省(EIA)が公表した月次統計から、米国の石油の輸出量と輸入量について書きます。

報じられているとおり、2019年9月時点で、米国では石油の輸出量が輸入量を上回り、ネット石油輸出国になりました。統計開始以来70年ぶり(月間ベース)とのことです。

“ネット輸出”ですので、この場合は、輸出量から輸入量を差し引いた値を見ていることになります。

以下は、輸出量と輸入量を別々にみたものです。

2019年9月時点で、グラフが交差しています。具体的には、輸出量が日量875万7000バレルで輸入量が日量866万8000バレル、差し引きで日量8万9000バレルのネット輸出です。

ネット輸出国になった経緯について、輸出が増えたからなのか、輸入が減ったからなのか、という点については“両方”と言えそうです。

2008年ごろから、輸出の増加が目立ちますが、同時期より輸入の減少も確認できます。

米国がネットで石油輸出国になったのは、米国のシェール生産が増えたためだ、というイメージが先行しそうですが、実は、輸入が減ったことも、その大きな要因だということがわかります。

しかも、このデータが対象としている石油は、原油と石油製品を合わせたものです。

原油と石油製品の合算の輸出量と輸入量のデータを参照した上で、ネット輸出国である点もまた、米シェールの変動だけでネット輸出国になったわけではないことを示しています。

次回以降、原油のみ、石油製品のみの、輸出入の量に注目します。

図:米国の石油(原油+石油製品)の輸出量と輸入量 単位:千バレル/日量
米国の石油(原油+石油製品)の輸出量と輸入量

出所:米エネルギー省(EIA)より筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。