「水星逆行」期間前後の安値は、買い場を提供か?

著者:菊川 弘之
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 米連邦政府の一部閉鎖は過去最長の記録を更新した。その影響が徐々に深刻になっている中、「世紀の空売り」で知られる投資家マイケル・バーリ氏が率いるサイオン・アセット・マネジメントが2025年7~9月期にエヌビディアとパランティアのプットオプションを新規取得していたことが米証券取引委員会(SEC)報告書で明らかになった。

 ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)とモルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOも4日、ともに株式相場が10%以上調整する可能性に言及している。

 英国の中央銀行総裁も、米国でサブプライム自動車ローン会社2社が次々と破綻したことについて、リーマン・ショックの巨大なバブル崩壊の初期段階だった2007年の米サブプライム住宅ローン金融危機と構造が同じで、大きな金融危機が再来するかもしれないと警告している。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)も、第3四半期決算発表後のアナリストとのオンライン会議で、「言うべきでないだろうが、ゴキブリを1匹見たら、恐らく他にもいる。この件は誰もが警戒すべきだ」と発言した。

 11月5日の満月前後の時間帯に下げ止まらなければ、もう一段安も想定されるが、水星逆行期~逆行明けにかけての安値は、中長期的な金の買い場を提供すると考える。

 NY株式市場の急落、一部米政府機関の過去最長の閉鎖、NY市長選挙では、民主党の急進左派でニューヨーク州下院議員のゾーラン・マムダニ氏が「富の再分配」を公約して当選、ベネズエラへの空母群派遣など、波乱要因も多い。米戦略国際問題研究所(CSIS)によると、地中海で活動していた最新鋭空母ジェラルド・フォードも、11月上旬に中南米沖に着くとみられる。現在の戦力は、米国がカリブ海のグレナダを侵攻した時(1983年)よりも多い。

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このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券インベストメント株式会社 チーフ・ストラテジスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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