[Vol.2094] 原油相場の短期的材料

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。58.31ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,240.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年01月限は15,390元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年12月限は449.5元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2577.65ドル(前日比4.55ドル縮小)、円建てで13,938円(前日比86円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月13日 17時33分時点 6番限)
21,556円/g
白金 7,618円/g
ゴム 324.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「原油相場の短期的材料」
前回は、「コモディティ価格は『底上げ』にある」として、主要なコモディティの価格推移を、確認しました。

今回は、「原油相場の短期的材料」として、NY原油先物(期近)日次平均の推移を、確認します。

近年の原油相場の動向を振り返ります。以下のグラフの通り、2022年の年末ごろ以降、80ドルを挟んだプラスマイナス15~20ドルのレンジ相場で「高止まり」しています。前回述べた長期視点の「底上げ」を助長する動きです。

2025年はトランプ関税ショックが発生したり、中東とウクライナ情勢が改善する期待が浮上したりしたことで50ドル台を付ける場面がありましたが、それでも上記のレンジの下限をおおむね維持していると言えます。

米国国内だけでなく世界に広く影響力を行使し、中東やウクライナ情勢にある程度関与できる手段を持っているトランプ米大統領は、グレーの文字で示したとおり、複数の上昇圧力、複数の下落を、原油相場にもたらしています。

トランプ米大統領は、パリ協定から再離脱したり、関税戦争を鎮静化させる素振りを見せたりして、原油の需要が増加する思惑を強めたり、中東情勢やウクライナ情勢に関わる要人と対話をして情勢の安定化あるいは不安定化のムードを醸成し、原油の供給の安定化・不安定化の思惑を不安定化の思惑を生んだりしています。

こうしたトランプ米大統領の動きは、原油相場をレンジ内に留める大きな要因だと言えます。

図:NY原油先物(期近)日次平均 単位:ドル/バレル
図:NY原油先物(期近)日次平均 単位:ドル/バレル
出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。