2019年の原油価格はおよそ36%上昇

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。61.75ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,518.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は13,095元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年02月限は490.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで562ドル(前日比0.5ドル拡大)、円建てで1,973円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(12月30日 11時52分頃 先限)
 5,313円/g 白金 3,340円/g 原油 42,870円/kl
ゴム 199.9円/kg とうもろこし 24,700円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「2019年の原油価格はおよそ36%上昇」

今回は「2019年の原油価格はおよそ36%上昇」として、原油を含んだ主要銘柄の2019年の値動きを振り返ります。

2019年の年初と12月30日午前時点(日本時間)の各銘柄の騰落率は以下のグラフのとおりです。(日本市場で取引されている銘柄は本日が今年の取引の最終日ですが、米国市場で取引されている銘柄は、年末年始は、1月1日のみ休場です)

対象銘柄は、20銘柄で、そのうちコモディティ(いずれもドル建て)は11銘柄、株価指数は5銘柄、通貨は2銘柄、その他2銘柄です(バルチック海運指数とビットコイン/ドル)。

WTI原油はおよそ36%の上昇です。20銘柄のうち、投機色の強いビットコイン、通年で供給不足観測があったパラジウム、ハイテク企業を中心に米国の景気回復期待が強いことで上昇したナスダックに次ぐ、第4位です。

また、20銘柄全体では、上昇した銘柄が多かったことがわかります。(20銘柄中16銘柄が上昇)

原油は、OPECプラスの減産継続・強化期待など、個別に上昇要因があったことに加え、市場全体のムードが総じて“リスクオン”だったことも、上昇の一因となったと言えそうです。

以前の「トランプ大統領が再選を目指して行う施策の原油相場への影響」で述べたとおり、2020年はトランプ大統領が再選を目指し、11月3日(火)の米大統領選挙に向けて、景気回復をアピールする目的で複数の株高施策を行う可能性があります。

2020年は、2019年と同様、株高(実態経済との乖離を生みながら)→全体的な投資ムードが改善→リスクオンモードの醸成→世界的な景気回復期待が高まる→石油の消費増加期待が高まる→原油相場に上昇圧力がかかる、といった流れが生じる可能性があると、筆者は考えています。

図:2019年の主要銘柄の騰落率(2019年年初と日本時間12月30日午前を比較)


出所:各種情報源をもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。