[Vol.2195] 金(ゴールド)高は株安の原因ではない

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。93.12ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。4,817.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年09月限は16,800元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。26年06月限は627.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2708.3ドル(前日比41.10ドル縮小)、円建てで14,621円(前日比136円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月15日 19時19分時点 6番限)
25,258円/g
白金 10,637円/g
ゴム 388.0円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)高は株安の原因ではない」
前回は、「株高でも金(ゴールド)高が起きている」と題して、S&P500の10度の上昇・堅調期の騰落率(NY金先物とともに 月間平均ベース)、確認します。

今回は、「金(ゴールド)高は株安の原因ではない」と題して、エビデンスとナラティブについて、確認します。

以前の「[Vol.2194] 株高でも金(ゴールド)高が起きている」、「[Vol.2193] 株安でも金(ゴールド)安が起きている」で述べたことを踏まえると、2010年ごろ以降、金(ゴールド)はほとんどのタイミングで上昇し続けてきたことが分かります。

「長期視点」では、2010年ごろ以降、株が上昇しても下落しても、金(ゴールド)相場は上昇してきたといえます。金(ゴールド)相場が上昇している時は株が安い時、金(ゴールド)が上昇しているから株が安い、などのシナリオは2010年ごろ以降、長期視点では通じなくなっていると言えます。

S&P500と金(ゴールド)の相関係数は、1980~2009年が「0.19(ほぼ無相関)」、2010~2026年(3月まで)が「0.82(比較的強い相関)」でした。

2010年以降、株と金(ゴールド)が同時に上昇してきたことが分かります。このことは、必ずしも金(ゴールド)高が株安の要因にならないことを示しています。株と金(ゴールド)の値動きの関係に劇的な変化が生じたタイミングは、2010年ごろだったといえます。

ここで重要なキーワードは、「エビデンス(証拠)」と「ナラティブ(物語)」です。相違点は複数ありますが、共通点もあります。「人々の行動のきっかけ」です。エビデンス(証拠)が明示されていたり、美しくワクワクするナラティブ(物語)が添えられていたりする商品の売り上げは、そうでない商品に比べて大きくなるといわれています。

消費者の心理を「エビデンスがしっかりしているから信頼できる」「ワクワク感が生じて購入後が楽しみになった」などの状態に誘引することにより、売り上げ増加が期待されます。こうした消費者の特性を逆手に取り、多くのマーケターやコンサルタントらは、日夜、エビデンスを用意したり、ナラティブを創造したりしています。

「長期視点」では、2010年ごろ以降、「株と金(ゴールド)は逆相関」という通説は、直観的には伝わるものの、数値・事実を伴わない物語(ナラティブ)になっている可能性があります。

たしかに、「株と金(ゴールド)は逆相関」というナラティブ(物語)は、直感的に伝わりやすく、2010年ごろ以前に見られた、株が急落している時に金(ゴールド)が急騰していた様子は、「金(ゴールド)は株のマイナスを補完する立役者」というナラティブ(物語)を生み、今でも一部に根強く残っています。

とはいえ、2010年ごろ以降、金(ゴールド)が、株が上昇しても下落しても、長期上昇トレンドを演じていることを考えれば、2010年ごろ以前にできたナラティブ(物語)に頼った分析は、通じにくくなっていると言わざるを得ません。

もともと、エビデンス(証拠)とナラティブ(物語)は、対立関係ではなく補完関係であることを考えれば、金(ゴールド)相場の分析においては、「エビデンス」の要素を大きくし、エビデンス(証拠)とナラティブ(物語)を併用することが望まれます。

図:エビデンスとナラティブについて
図:エビデンスとナラティブについて
出所:各種資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。