イラクは協調減産開始後、最も原油生産量を増やしている国

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。59.53ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの低下などで。1,552.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は13,100元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年03月限は479.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで577.85ドル(前日終値比4.45ドル縮小)、円建てで2,044円(前日終値比6円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(1月10日 16時43分頃 先限)
 5,454円/g 白金 3,410円/g 原油 41,690円/kl
ゴム 201.4円/kg とうもろこし 24,990円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「イラクは協調減産開始後、最も原油生産量を増やしている国」

前回は「イラン要人殺害事件は、OPECプラスの減産順守率の上昇要因」として、事件がきっかけでイラクの原油生産量が減少し、OPECプラスの減産順守率が上昇する可能性があることについて書きました。

今回は「イラクは協調減産開始後、最も原油生産量を増やしている国」として、事件の現場となったイラクの原油生産量について書きます。

前回述べたとおり、イラクの原油生産量は長期的に増加傾向にあります。

そして以下の表のとおり、イラクは、2017年1月のOPECプラスの協調減産開始後、継続して減産に参加している国の中で、最も生産量を増やしています。

ナイジェリアとリビアも生産量が増えた国ですが、常時あるいは一時、減産順守率と無関係の、減産免除国でした。

つまり、“最も減産順守率の上昇を阻害した”という意味では、イラクがNo1ということになります。

イラクにとって、今年1月から始まった再改定後の減産のルールは、先月までよりも厳しくなっていることもあり、イラクはすぐにでも、生産量を自主的に、大きく減少させる必要があります。

しかし、自発的に削減させることができないのであれば、米国の制裁によって生産量を減らさざるを得なくなったイランやベネズエラのように、米国に生産量を減少させられる可能性があります。

イラクにある米国の石油会社で働く米国人へのイラクからの退去勧告が、米国による強制的な減産実施につながる可能性があります。

図:OPEC加盟国の生産量の増減(2017年1月と2018年11月を比較)
単位:千バレル/日量
OPEC加盟国の生産量の増減(2017年1月と2018年11月を比較)

出所:OPECのデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。