2019年の米国の産油量は、過去60年間のどの国よりも多かった!?

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。58.14ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,551.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は13,195元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年03月限は463.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで548.35ドル(前日終値比8.95ドル縮小)、円建てで1,945円(前日終値比24円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(1月15日 19時34分頃 先限)
 5,474円/g 白金 3,529円/g 原油 41,250円/kl
ゴム 206.1円/kg とうもろこし 24,910円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「2019年の米国の産油量は、過去60年間のどの国よりも多かった!?」

前回は「原油、年初来4%強下落」として、年初来の主要銘柄の騰落率を確認しました。

今回は、昨日(1月14日)にEIA(米エネルギー省)が公表した短期見通しを参照し、米国の原油生産量について書きます。

昨日の短期見通しで確認できた、月次ベースの2019年1月から12月までの実数値と、2020年1月から12月、2021年1月から12月までの見通しのデータより、各年の年次ベースの平均値を算出しました。

これまでの短期見通しにおける実績値の年次ベースの平均値と、OPECの年次統計のデータの差は、数万バレル程度で、ほぼ同じです。

このため、OPECの年次ベースの米国の原油生産量のデータに、上述の米国の原油生産量の3カ年分のデータをつなげることに、大きな違和感はないと言えます。

“つなぎ合わせた”米国の原油生産量と、OPECの年次統計にあるロシアとサウジの原油生産量を示したのが、以下のグラフです。

このグラフよれば、2019年の米国の原油生産量である日量1224万バレルは、過去およそ60年間の最高だった1987年のロシアの原油生産量である日量1115万3000バレルを上回ったことがわかります。

OPECの年次統計は、毎年6月に公表されるため、2020年6月までは、同統計で2019年のロシアとサウジの原油生産量を確認することはできません。

しかし、2019年は通年でロシアとサウジが原油の減産を実施していたため、両国の原油生産量が、2019年に極端に増加することは考えにくいと思います。

また、OPECの統計ではこのおよそ60年間にロシアの日量1115万バレルを上回った国はありません。

このため、2019年の米国の原油生産量の実績値がでそろった昨日の短期見通しより、2019年の米国の産油量は(年次ベース)、過去60年間のどの国よりも多かったと言えると、筆者は考えています。

図:米国、サウジ、ロシアの原油生産量 単位:百万バレル/日量
米国、サウジ、ロシアの原油生産量

出所:OPECおよびEIAのデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。