原油、年初来4%強下落

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。中東情勢の緊張緩和などで。57.88ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,544.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は13,250元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年03月限は465.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで570.4ドル(前日比1.9ドル拡大)、円建てで2,019円(前日比5円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(1月14日 17時32分頃 先限)
 5,446円/g 白金 3,427円/g 原油 41,150円/kl
ゴム 206.5円/kg とうもろこし 24,900円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「原油、年初来4%強下落」

前回は「イラクは協調減産開始後、最も原油生産量を増やしている国」として、事件の現場となったイラクの原油生産量について書きました。

今回は「原油、年初来4%強下落」として、年初来の主要銘柄の騰落率を確認します。

以下のグラフは、2020年1月14日(火)午前時点での、コモディティ、株価指数、通貨における主要な12銘柄の、年初来騰落率をランキング化したものです。

1月3日(金)に発生した、イラクでの米国によるイラン要人殺害事件により、6日(月)、中東でのリスクが高まり、供給減少懸念から原油が、世界景気を悪化させる懸念から金(ゴールド)が上昇しました。

しかし、7日(火)以降は、事件を指示したトランプ大統領が、戦争は望まないことを明言したことで、原油の供給不足は起きず、世界景気は悪化しない観測が強まったことで、原油も金も下落しました。

また、トランプ大統領の発言に加え、先鋭化したイラン国民の感情の矛先が、司令官を殺害した米国から、ウクライナの航空機爆撃を隠蔽しようとしたとしたイラン指導部に移ったことや、日本の安倍総理大臣が中東諸国を歴訪しており、中東地域の情勢の緩和に向けた働きかけをしていることも、中東情勢が変化した要因と考えられます。

引き続き、中東情勢の緊張緩和が原油相場の上値を重くする可能性があります。

一方、今週は専門機関からの12月の原油生産量の公表が相次ぎます。本日(14日)にEIA、15日にOPEC、16日にIEAが、各産油国の原油生産量を公表します。

減産期間中にあるOPECプラスの原油生産量が減少したことが確認されれば、少なからず原油相場の上昇要因となるとみられます。

目先は、中東情勢の動向に加え、原油生産量のデータにも注目です。

図:年初来の主要銘柄の騰落率


出所:CMEなどのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。