長期的な原油相場の変動① 第2次オイルショック時、120ドル到達

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。55.98ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年産利回りの反落などで。1,555.70ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は12,085元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年03月限は447.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで544.1ドル(前日終値比8.7ドル拡大)、円建てで1,934円(前日終値比13円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(1月23日 17時47分頃 先限)
 5,474円/g 白金 3,540円/g 原油 39,790円/kl
ゴム 191.2円/kg とうもろこし 24,390円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「長期的な原油相場の変動① 第2次オイルショック時、120ドル到達」

前回は「減少ではないが“増加が鈍化”している、米シェール主要地区の原油生産量」として、1月21日に米エネルギー省(EIA)が公表した、米シェール主要地区の関する月次レポートをもとに、同地区の原油生産量の推移について書きました。

今回は「長期的な原油相場の変動① 第2次オイルショック時、実質価格は120ドルに」として、1975年から最近までのWTI原油価格の値動きを振り返ります。

NYMEXでWTI原油先物価格の取引が始まったのは1983年5月だったため、グラフはスポット(現物)価格を参照しています。

過去と現在とでは物価が異なるため、物価動向を反映させた“実質価格”、当時の価格そのものである“名目価格”の両方を示しています。

1980年前後において、名目価格は1バレルあたり40ドル弱でしたが、実質価格は一時的に120ドルを超えました。

物価高(インフレ)への懸念が強まっていた当時は、名目価格よりも実質価格の方が高かったわけです。

1980年前後といえば、第4次中東戦争の終盤を迎える、イラン革命が起きる、旧ソ連がアフガニスタンに侵攻する、イランの米国大使館人質事件が発生する、イランイラク戦争勃発する、など、中東で有事が頻発した時期でした。

この時期、中東からの原油の供給不安が強まり、原油相場が急騰しました。これがいわゆる“第2次オイルショック”です。

一方、特に昨年以降、中東でタンカーの妨害や石油施設への攻撃、要人の殺害など、複数の事件が断続的に発生しているにも関わらず、原油相場は急騰していません。

次回以降、数回にわたり、中東有事でも原油相場が急騰しない理由を書きます。

図:WTI原油スポット価格 単位:ドル/バレル
WTI原油スポット価格

出所:EIA(米エネルギー省)などのデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。