減少ではないが“増加が鈍化”している、米シェール主要地区の原油生産量

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。58.09ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドルインデックスの反発などで。1,554.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は12,420元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年03月限は459.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで550.1ドル(前日終値比0.3ドル縮小)、円建てで1,959円(前日終値比20円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(1月22日 17時30分頃 先限)
 5,491円/g 白金 3,532円/g 原油 41,060円/kl
ゴム 192.7円/kg とうもろこし 24,650円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「減少ではないが“増加が鈍化”している、米シェール主要地区の原油生産量」

今回は「減少ではないが“増加が鈍化”している、米シェール主要地区の原油生産量」として、昨日(1月21日)に米エネルギー省(EIA)が公表した、米シェール主要地区の関する月次レポートをもとに、同地区の原油生産量の推移について書きます。

米シェール主要地区の原油生産量の増加は“OPECの減産の効果を薄める悪しき存在”のように語られることがあります。

原油価格が景気動向の指標と考える人や、原油に関わる投資商品に投資をしている人にとっては、米シェール主要地区の原油生産量の増加はやっかいな存在と言えます。

一方、ガソリンスタンドでガソリンや灯油などの石油製品を購入する人にとっては、米シェール主要地区の原油生産量の増加は好ましい存在と言えます。

つまり、米シェール主要地区の原油生産量が増加していることが好ましいかそうでないかは、立場によって異なるわけです。

立場によって正反対の認識を与える同地区の原油生産量の増加が、この数カ月、これまでとは異なる様相を呈してきていることが、昨日のEIAの統計で改めて確認できました。

以下のグラフの緑の棒グラフのとおり、シェールブームが興った2010年から逆オイルショックが起きる2014年後半まで、そして逆オイルショックからの回復が始まった2017年から2019年10月ごろまで、同地区の原油生産量は、少なくとも前の月に比べておおむね日量10万バレル以上、増加し続けてきました。

しかし、この数カ月間は、増加幅が日量10万バレル以下の月が続いています。

増加は継続しているのですが“増加が鈍化”しているわけです。増加の鈍化は、世界の石油の需給バランスが過度に緩まないことに貢献するとみられます。

以前の「米シェール、ついに曲がり角を迎えた!?」で書いた通り、開発関連指標が低下してきていることが主な要因と考えられます。

次回以降、同指標について書きます。

図:米シェール主要地区の原油生産量の推移と前月比 単位:百万バレル/日量


出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。