石油消費が“日量26万バレル減少”しても大きな影響はない!?

原油
著者:吉田 哲
原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。53.91ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年産利回りの反落などで。1,566.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)、上海原油(上海国際能源取引中心)は春節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで571.95ドル(前日終値比2.85ドル縮小)、円建てで2,024円(前日終値比14円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(1月29日 17時26分頃 先限)
 5,497円/g 白金 3,473円/g 原油 38,200円/kl
ゴム 184.2円/kg とうもろこし 23,900円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「石油消費が“日量26万バレル減少”しても大きな影響はない!?」

前回は「新型ウィルス拡大の影響により、中国関連銘柄の下落が目立つ」として、複数の主要銘柄における年初来の騰落率について書きました。

今回は「石油消費が“日量26万バレル減少”しても大きな影響はない!?」として、1月22日に米大手金融会社が、新型ウィルスの拡大で“日量26万バレル”、世界の石油の消費量が減少すると指摘したことについて書きます。

この“日量26万バレル”は、一体どの程度の規模なのでしょうか?

EIA(米エネルギー情報局)が今月公表した統計によれば、2019年の世界の石油消費量は、以下のグラフの通り、日量1億80万バレルでした。

また、2019年の供給量から消費量を差し引いた需給バランスは日量3万バレルの供給不足でした。

これらの値に、米大手金融機関が今回の新型コロナウイルスの拡大によって消費が減少すると指摘した量、“日量26万バレル”を当てはめてみます。

そうすると、世界の2020年の石油消費量は2019年に比べて0.26%減少、2020年の石油の需給バランスは(2019年と供給が変わらなかったとして)日量23万バレルの供給過剰となる計算になります。

消費量においては0.26%と軽微。需給バランスにおいても供給過剰とはいえ、2018年が日量91万バレルの供給過剰だったことから考えれば、小規模であると言えます。

(1)過敏にならざるを得ない世界的な感染症がテーマで、(2)米大手金融機関がまことしやかに、(3)消費が減る話をする、などの条件がそろったため、原油市場は(特に原油を生産しない先進国の市場で)過剰に反応してしまっているようにみえます。

このように、米大手金融機関の指摘が、下落に拍車をかける複数の条件を含んでいたため、原油価格は他の主要銘柄と比較しても、大きな下落になったのだと考えられます。

図:世界の石油消費量と石油の需給バランス(年平均) 単位:百万バレル/日量
世界の石油消費量と石油の需給バランス(年平均)

出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 1977年生まれ。大学卒業後、コモディティ業界に入る。2007年からコモディティアナリストとして商品の個別銘柄分析や情報配信を担当。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。楽天証券ウェブサイトにレポート「週刊コモディティマーケット」を掲載(毎週金曜更新)。各種メディアでも独自の視点を織り交ぜながら関連情報を幅広く配信している。