減産強化に難色を示すロシアの1月は、減産非順守

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。51.52ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,579.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は11,485元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年04月限は408.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで604.15ドル(前日比0.05ドル拡大)、円建てで2,123円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月14日 18時48分頃 先限)
 5,559円/g 白金 3,436円/g 原油 37,840円/kl
ゴム 183.9円/kg とうもろこし 23,390円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「減産強化に難色を示すロシアの1月は、減産非順守」

今回は「減産強化に難色を示すロシアの1月の減産順守率は78%」として、昨日(2月13日)にIEA(国際エネルギー機関)が公表した月次レポートから、各カテゴリにおける減産強化後の1月の減産順守率について書きます。

現在、OPECプラスは合計23の国で構成されています。うち、OPECがサウジなどの13カ国、非OPECがロシアなどの10カ国です。

減産を実施しているのは、OPECの10カ国と非OPECの10カ国、合計20カ国です。

以下の表は、IEAが公表したカテゴリ別の1月の減産順守率です。

OPECプラス全体は123%、OPECは143%、非OPECは76%でした。

以前の「OPECプラスが持つ“余剰削減分”の意味とは!?」で述べましたが、海外主要メディアはOPECの1月の減産順守率は133%だったとしました。

143%と公表したIEAの方が、OPECはよりよく減産を順守している、と認識していると言えます。

一方、非OPECの減産順守率の低さが目立ちます。減産順守率は100%を超えると減産順守を意味しますが、1月の非OPECの減産順守率は76%、非OPECのリーダー格であるロシアは78%でした。

非OPEC全体、ロシア単体で、削減量が予定の4分の3程度にとどまっていることがわかります。

予定量の1.4倍程度の削減をしているOPEC、4分の3程度にとどまっている非OPEC。OPECプラスという同じ組織に属していても、減産実施への温度感が全く異なります。

先週のJTC(共同技術委員会)で日量60万バレルの追加削減をOPEC総会に勧告することが決まりましたが、ロシアを中心とした非OPECは、追加で割り当てられた量を削減することはできるのでしょうか?

非OPECは、追加の話よりも、まずは、現在割り当てられている削減量を削減することを全うしなければなりません。

図:2020年1月の各カテゴリの減産順守率(100%以上で減産順守)
2020年1月の各カテゴリの減産順守率

出所:IEA(国際エネルギー機関)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。