NY金、新たなステージ(インフレ)を織り込む流れ

著者:菊川 弘之
 NY金(4月限)は、ADXが高水準の中、2月に続いて「HORY-GRAILの買い」パターンから上げ加速となった。短期的なSWING手法だが、20日間・50日間高値が重なる2月24日高値(1691.7ドル)~心理的節目1700ドルを上抜いてくると、長期トレンドフォロー型指標の多くが陽転となり、追撃買いも想定される。

 3月3日に米国は緊急利下げを決めたばかりだが、市場は既に、次の利下げを期待して催促する動きを見せている。これは、ドルにとって売り要因・NY金にとっては、買い要因となっている。

 ドル円は、106円割れ。2月に三角保合い上放れとなったが、既存レポートで予測していた通り、2018年の上放れ時と同様、放れはダマシとなった。支持線だった200日移動平均線を割り込んで以降、下げ加速となっている。

 アジアだけでなく米国でも新型肺炎感染拡大で、米追加利下げ思惑は強く、日米金利差も拡大している。クオモ・ニューヨーク州知事は5日、同州の感染者数が一晩で22人に倍増したと発表。4日はカリフォルニア州が州全域に非常事態宣言を出した。米企業が国内外の出張を禁止するなどヒトやモノの移動を制限する動きが広がっている。VIXは一時40台に上昇。これまで遠いアジアの出来事だった新型肺炎感染が、米国にとって当事者意識を持たざるを得ない状況となっている。

 既に、ドル円が2019年8月安値を付けた際に記録した日米金利差を、大きく上回る拡大(円買い・ドル売り要因)となっている。20日間・50日間安値も更新中で、多くのトレンドフォロー型指標は、陰転となっている。

 ドル円は、目先、心理的節目105円~2019年8月安値で下げ止まるか否かが焦点。今晩は雇用統計の発表だが、新型コロナウイルスが反映される前の数値で、良い数値が出ても、市場の反応は限定的か?
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券株式会社 調査部主席アナリスト。NYU留学後、商品投資顧問チーフアナリスト、自己ディーリング部長などを経て現職。「北浜流一郎と菊川弘之の朝イチ投資大学」(ラジオNIKKEI)を始め、「ブルームバーグTV」「日経CNBC」等、多数のメディアに出演。Podcastビジネス部門1位獲得も。時事通信、ロイター、日経新聞等に寄稿中。中国・台湾でも現地取引所主催セミナー招待講師として活躍中。 http://market-samurai.livedoor.biz/