NYダウ、過去最大の下げ幅を受けた金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 3月16日(月)のNYダウは、大幅反落。下げ幅は過去最大。下落率はブラックマンデー(1987/10/19)以来の大きさだった。下げ幅は一時、3069ドルに達した。トランプ大統領記者会見で、新型コロナ感染の最悪期が「8月まで延びる可能性がある」と述べ、米景気についても「おそらく後退に向かっている」と指摘した事を受け、景気悪化が年後半も続くとの見方が強まった。

 ニューヨーク連銀製造業景況指数(3月)は、マイナス21.5と前月(12.9)から急低下。2009年以来の低水準で、前月からの下げ幅としては過去最大だった。米連邦準備理事会(FRB)は15日夕、政策金利をゼロ近くまで下げる緊急利下げと量的緩和の再開を日曜日に発表する異例の対応を取ったものの、今後、悪いマクロ経済指標が出て株価が下落しても、打つ手はもう少ないとの見方も一因。

 いわゆる「恐怖指数」と呼ばれるVIXは、終値ベースで過去最高値を更新。これまでの終値ベースの最高は、米議会が金融危機当時に自動車業界救済計画の採決を延期した2008年11月20日に付けた80.86だった。VIXは16日、一時83.56まで上昇し、2008年10月24日に記録したザラバベースの過去最高(89.53)に迫った。

 リーマンショック時は、「金融機能マヒ」が「世界的な需要蒸発」を招いたが、今回のコロナショックは、「世界的な消費蒸発懸念」が「金融不安拡大」に繋がっており、「命に係わる」もので似て非なるものとの見方が多い。リーマンショック時には、効果的だった大規模財政・金融政策が、コロナショックでは、効かないとの声も多い。

 「陰の極み」に接近であるものの、底打ちするためには「ワクチン開発」や「感染者拡大の頭打ち」確認などが必要であろう。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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