NYダウ、過去最大の下げ幅を受けた金相場見通し

著者:菊川 弘之
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 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は16日の記者会見で、新型コロナウイルスについて、中国以外の感染者数と死者数がいずれも発生地の中国を上回ったと指摘。

 新型コロナウイルスの感染拡大について、欧州がパンデミック(世界的流行)の「震源地」になっているとの見解を示している。

 発表数字に疑義があるとも言われる中国だが、北京在住の筆者の知人によると、既に北京の一部のスーパーでは、マスクもティッシュもトイレットペーパーも普通に店頭で買えるとのこと。民主国家と違い強権的な政策を採れた中国が、一足早く、新型コロナ封じ込めに成功したかもしれない。

 米国のQE再開を始めとして世界的なジャブ付き相場が拡大して始まったが、感染者拡大が落ち着いても、すぐには金利引き上げや、QE縮小は採れないと見られ、巨大なマネーの移動・出入りで、各市場のボラティリティは大きくなりそうだ。

 事実上のゼロ金利政策を採った米国だが、過去の金利引き下げ局面でのNYダウの値動きを振り返ってみると、日柄からは一旦、リバウンドを入れても良い時間帯に入っている。ただし、過去を見ると、戻りは改めて売り直され、底打ちには、まだまだ日柄を擁している。

 一方、利下げ局面でのNY金の値動きを振り返ると、日柄からは損失補填的な売りをこなした後は、押し目を買い直され、下値を切り上げる時間帯が接近しているようにも感じる。

 前述したように、リーマンショックとコロナショックでは、その性格が大きく違うものの、値動きと日柄の参考とはなりそうだ。リーマンショックの際は、株価に下げ止まりが一旦見えた後、金への損失補填売りも一服し、その後、株価が保合いに移行している間に、NY金は上昇。その後の株価の底割れで、NY金は大きく上昇した。
 

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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