すでに低下していた米シェール主要地区の開発指標

著者:吉田 哲
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原油反発。主要株価指数の反発などで。24.96ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,639.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年09月限は9,760元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年05月限は254.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで953ドル(前日比12.9ドル拡大)、円建てで3,256円(前日比41円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(3月24日 19時12分頃 先限)
 5,713円/g 白金 2,457円/g 原油 25,990円/kl
ゴム 151.1円/kg とうもろこし 23,550円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「すでに低下していた米シェール主要地区の開発指標」

前回は「米シェールは2020年5月から減る!?」として、米国全体の原油生産量と米シェール主要地区の原油生産量のこれまでの推移と、3月時点におけるEIA(米エネルギー省)のそれらの見通しを確認しました。

今回は「すでに低下していた米シェール主要地区の開発指標」として、前回に関連し、向こう数カ月以内に米シェール主要地区の原油生産量が減少する可能性があることについて、開発指標の点から書きます。

足元、原油相場の下落によって、どのようなタイミングで米シェールの生産が減少するのかに注目が集まっています。

米シェール主要地区では、掘削を開始してから生産が始まるまで、3から4カ月、あるいはそれ以上、日数がかかるため、原油相場、開発の進捗、原油生産量の3つの動向の間に、何カ月間か、時間差があります。

2015年前後の原油相場の急落の際(逆オイルショック発生時)は、米シェール主要地区の開発関連指標の鈍化後、およそ半年後に、同地区の原油生産量の減少が始まりました。

実は、今回については、以下のグラフのとおり、昨年秋以降、シェール開発関連指標の鈍化が始まっていました。

足元の原油価格の急落もあり、5月ごろには、具体的に米シェールの生産量の減少が始まる可能性があります。

ただ、2015年前後と現在とでは、生産効率が異なります。現在の方が格段に良くなっています。

新規1油井当たりの原油生産量はおよそ2倍になっていますので、仮に油井の数が減少しても、生産量が以前のような減り方にならない可能性があります。

しかし、サウジとロシアの間で起きている価格引き下げ合戦の折、米シェールが明確に減ったとなれば、若干の減少でも、市場はそれを好感し、原油価格が反発しやすくなると考えられます。

取り急ぎ、まずは、大きな減少にはならないかもしれませんが、4月13日(月)に公表される、同地区の3月の原油生産量に注目です。

図:米シェール主要地区の開発関連指標と原油生産量
米シェール主要地区の開発関連指標と原油生産量

出所:米エネルギー省(EIA)のデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。